藤田直央(ふじた・なおたか) 朝日新聞編集委員(日本政治、外交、安全保障)
1972年生まれ。京都大学法学部卒。朝日新聞で主に政治部に所属。米ハーバード大学客員研究員、那覇総局員、外交・防衛担当キャップなどを経て2019年から現職。著書に北朝鮮問題での『エスカレーション』(岩波書店)、日独で取材した『ナショナリズムを陶冶する』(朝日新聞出版)
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
【15】ナショナリズム 日本とは何か/沖縄と「祖国」⑤
「沖縄の保守」について考えている。
今回の参院選でも「沖縄の保守」は苦杯をなめた。自民党候補が無所属候補に敗北。焦点となった政府が進める普天間飛行場の県内移設について、無所属候補は反対を唱え、自民党候補は歯切れが悪かった。
近代国家・日本を築くために愛郷心を愛国心へつなげようとする営みは、沖縄との間で曲折を経てきた。沖縄は戦後、1952年に日本が主権を回復した際に切り離され、米軍統治下に置かれた。激しい祖国復帰運動の末に72年に日本に戻ったが、米軍基地は残った。
戦後日本に生まれた日米安保体制が、新たな「国体」ともいえるぶ厚さで、「国民」を代表するはずの日本政府の力の及びがたい存在となっていた。その象徴として、沖縄の「国民」が望まぬ「在日米軍基地が集中する沖縄」が、今日まで変わらずあり続けている。
日本復帰後もそんな苦境が変わらぬ沖縄で、「沖縄の保守」は何を守ろうとしているのだろう。
昨年急逝した知事の翁長雄志は、かつて自民党県連幹事長を務めた「沖縄の保守」だった。その翁長が晩年は普天間問題で安倍政権と鋭く対立し、「政府は沖縄県民を日本国民として見ていない」とまで語った。
「沖縄の保守」はどこへゆくのか。生い立ちとあわせて、ぜひ話を聞いてみたい人がいた。
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