メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

安保は令和の争点に非ず。大切なのは人口減対策

野党は安保のこだわりから脱し、少子高齢化問題への対応で共闘をはかるべき

米山隆一 衆議院議員・弁護士・医学博士

「令和」の現実的選択とは

 この現実は何を意味しているでしょうか。いわゆる「右派」の方々は、だからより一層日本は防衛費を増やさなければならないと主張します。しかし、いまこの時点でも、中国は毎年7~8%の割合で防衛費を増やし続けています。

 日本が中国に防衛費、軍備の「規模」で追いつこうとするなら、中国を上回る10%程度の経済成長を続け、防衛費10%増を50年程続けなければなりません。それがおよそ現実的でないことは、誰の目にも明らかでしょう。

 要するに日本と中国の軍事バランスは、平成の時代にすでに勝負はついてしまったのです。

拡大Blablo101/shutterstock.com
 私は、だから日本は防衛をしなくていいと言いたいのではありません。極めて残念なことながら、日本は、自らの周辺領域である極東において、少なくとも軍事的には、自らの運命を自ら決する事が出来る「大国」ではなくなったという現実を、受け入れざるを得ないと言いたいのです。

 日本が、支出できる予算の範囲でどれだけ軍事費を増やしたところで、極東における米中対立構造の軍事バランスにおいては、いわゆる「焼け石に水」に過ぎません。日本と中国の利害がどれほど対立しても、アメリカが支持しない限り、日本が単独で中国と衝突することは悪夢でしかありません。

 逆に日本が中国とどれ程緊密な関係を築いても、考えたくもありませんが、いったん米中衝突という事態となれば、それを止めることはほとんど不可能でしょう。好むと好まざるとにかかわらず、令和の日本は、米中の新たな二極構造の中で、アメリカと共同歩調を取る以外の道は、現実的にありえないのです。

必須ではない安保法制

 では、安保法制はアメリカとの共同歩調を取る上で必須であり、細野氏が4月22日のツイートで「共産党から国民民主党まで揃って安保法制廃止法案を提出。廃止すると、日米ガイドラインも即、見直し。日米同盟の根幹が揺らぐ。残念だが、野党の現状が現れている。私が野党連合に加わらないのは、安保の現実主義を貫くことができないから」と主張したように、安保法制の廃止は直ちに日米の共同歩調を傷つけるものでしょうか。

 私にはそうは思えません。

 極東の米中対立構造は、ある意味昭和の米ソ冷戦と同様の構造に回帰しており、アメリカとしては日本のスタンスがどうあれ、中国につかせたいとは思っていないでしょう。と同時に、現在のトランプ政権の「アメリカ・ファースト」で分かるように、日本がどれほどアメリカの主張を受け入れたところで、アメリカの利益が脅かされる事態にならなければ、おそらくはアメリカは動かないでしょう。

 日本の安全保障にアメリカとの共同歩調がいらないという考え方が、極めて非現実的なのは論を待たないのですが、と同時に、アメリカの言うがままに共同歩調をとってさえいれば、日本の安全は保障されるというのも、実は楽観的に過ぎると私は思います。

 私は、現在の安保法制を廃止したうえで憲法9条を盾に日本の防衛支出を可能な限り抑えつつ、しかし日米安全保障条約を基軸とした日米の共同歩調を取り続けることも、十分に現実的な政策でありうると思います。

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

米山隆一

米山隆一(よねやま・りゅういち) 衆議院議員・弁護士・医学博士

1967年生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学医学系研究科単位取得退学 (2003年医学博士)。独立行政法人放射線医学総合研究所勤務 、ハーバード大学附属マサチューセッツ総合病院研究員、 東京大学先端科学技術研究センター医療政策人材養成講座特任講師、最高裁判所司法修習生、医療法人社団太陽会理事長などを経て、2016年に新潟県知事選に当選。18年4月までつとめる。2022年衆院選に当選(新潟5区)。2012年から弁護士法人おおたか総合法律事務所代表弁護士。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

米山隆一の記事

もっと見る