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障害者と一緒に人生を生きるということ

「義務感で障害者と生きるのは理想的社会とは言えない」と問う学生に、私は答えた

徐正敏 明治学院大学教授(宗教史)、キリスト教研究所所長

学生たちの問い

 大学の同僚教員のクラスの生徒が、課題として「障害者の生活の国別の違い」をテーマにグループで研究するということで、筆者にインタビューに来たことがある。学生四人と研究室で長時間にわたり真剣に話を交わした。

 障害者について調べようとする学生たちは、実際に障害者の教員に会ってインタビューをするということで、最初は非常に緊張した様子だった。なにを質問するのか、どのように丁寧に自分の意見を話せばいいのか、わかりかねているようだった。

 もちろん、それに気付いた筆者が、若い学生の緊張を解きほぐし、彼ら彼女らがなにを聞きたいかは察しが付いたので、質問を先取りして自問自答するように答えていった。だんだん学生たちの顔には安堵の色が浮かび、むしろ筆者と話をすることが楽しくなったようでさえあった。

 筆者は自分の体験から障害者に関する重要な考えや経験を話した。韓国と日本、アメリカなどで経験した実例を挙げ、現場で筆者が直接感じたことを詳細に説明した。学生たちにはすこし勇気がうまれたようだった。

 そして、インタビュー後半の質問が傑作だった。話のまとめとして、学生たちは筆者につぎのような印象的な言葉を発したのだ。

 「先生、日本でも韓国でも、どんな国であっても、私たちがいまの社会システムのなかで、ただ義務感のようなものだけにもとづいて障害者と生きていくのでは、根本的にともに幸せに生きていく理想的な社会であるとはいえないように思えるのですが、先生はどうお考えですか?」

 また、続けて、「私たちは障害者になにをしてあげることができるか、その人たちがなにをしてほしいかをたくさん考えたいと思います。だけど、そうしてたくさんのことをしてあげることがむしろ申し訳ないことのように、負担ではないかと思うことがあります。先生はどのように思われますか?」と。

 学生たちは彼らなりにいろいろと考えていたようだ。

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筆者

徐正敏

徐正敏(そ・じょんみん) 明治学院大学教授(宗教史)、キリスト教研究所所長

1956年韓国生まれ。韓国延世大学と大学院で修学。日本同志社大学博士学位取得。韓国延世大学と同大学院教授、同神科大学副学長、明治学院大学招聘教授、同客員教授を経て現職。アジア宗教史、日韓キリスト教史、日韓関係史専門。留学時代を含めて10年以上日本で生活しながら東アジアの宗教、文化、社会、政治、特に日韓関係を研究している。主なる和文著書は、『日韓キリスト教関係史研究』(日本キリスト教団出版局、2009)、『韓国キリスト教史概論』(かんよう出版、2012)、『日韓キリスト教関係史論選』(かんよう出版、2013)、『韓国カトリック史概論』(かんよう出版、2015)、『東アジアの平和と和解』(共著、関西学院大学出版会、2017)など、以外日韓語での著書50巻以上。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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