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災害関連死を減らす方法は…首都直下地震に備えて

東日本大震災から8年。日本の災害対応能力は向上したのか?(2)

阿久津幸彦 立憲民主党衆議院議員(比例東北ブロック)

防災は国がやるべき仕事

拡大アプロッゾ州市民安全局にて。左から3人目が榛沢氏、右から4人目が阿久津=2018年12月18日
榛沢 イタリアでは、一人でも子どもが亡くなったら、それは大災害と言われます。何人亡くなったかではなく、子どもまで亡くなるということを重く受け止めています。そして、避難所で死ぬということは考えられない、そうならないように対策しているのです。

 視察では、2012年に発生したイタリア北部地震(注1) の被災地モデナと、2016年のイタリア中部地震(注2) の被災地アマトリーチェに行きました。アマトリーチェは人口3,000人ほどの都市ですが、モデナという人口20万人の都市と変わらない避難所支援体制でした。なぜ差がないのかと聞いたら、「当たり前じゃないか、同じ被災者なのに町によって違ったら不公平じゃないか」と。正論ですよね。

注1)2012年5月から6月に、エミリア・ロマーニャ州モデナで起きた群発地震
注2)2016年8月に、ローマ州、マルケ州、ウンビリア州で起きた地震

 残念ですが、日本ではそうはなっていない。西日本豪雨の際、広島県で、人口の多い呉市(天応町)と、そこから一山超えて500mしか離れていない小さな坂町では、避難所の状況、スタッフ数に大きな違いがありました。坂町の避難所は人もリソースも不足しとても疲弊していたのです。そういうデコボコなことが日本では、許されているというか、諦めているというか、容認されている。

 でも、居住地域が違うという理由で、同様の支援が受けられないのはしかたがないと我慢することで片づけてしまってよいのでしょうか。地方自治だから国が介入できないとか、地方で決めなければいけないとか、地方自治が「隠れ蓑」になってしまっていますが、防災は「外敵」、いや「内敵」からの防衛という意味で、国がやるべきことだと思うんですよね。

日本にも常設の防災復興庁が必要

阿久津 その通りだと思います。防災に携わる国の体制を比較してみると、イタリアの市民防災省の人数は700人規模。日本の内閣府防災は、平成30年で約100人です。復興庁は約500人なので、両方あわせて約600人。これに内閣府の原子力防災70人を加えても700人規模。日本の人口はイタリアの2倍ですから、つまり防災担当を全部あわせても、イタリアの規模の半分以下しかやっていないということになります。

 しかも、復興庁ができたのは東日本大震災が起こってからで、それ以前は内閣府防災と内閣府の原子力防災を合わせて200人規模にしか達していなかった。私は、日本にも常設の防災復興省を作り、イタリアのように防災体制を構築し、恒常的にかつ長期にわたって復興を担える省が必要だと思います。

 一方で、意識の改革も必要です。同僚の高井崇志議員が国会質問で指摘していますが、「イタリアでは、災害発生と同時に、国や近隣の県が、備蓄されたテントやベット、簡易トイレなどを大型トレーラーに積んで、100人体制で被災地に向かい、あっという間に食事が提供される。その過程で、被災した基礎自治体(市町)が判断しなければならないことはほとんどない」のです。かなり差がありますね。

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筆者

阿久津幸彦

阿久津幸彦(あくつ・ゆきひこ) 立憲民主党衆議院議員(比例東北ブロック)

1956年生まれ。衆議院科学技術・イノベーション推進特別委員会理事。立憲民主党 役員室長、震災復興対策本部事務総長。内閣総理大臣補佐官、内閣府大臣政務官(防災・復興担当)などを歴任し、東日本大震災では、政府現地対策本部長代行、宮城現地対策本部責任者として陣頭指揮をとった。その後も被災地復興をライフワークに。元・緊急人道支援の国際NGO ジャパン・プラットフォーム(JPF)国内事業部長 兼 東北事務所長。元・硫黄島遺骨帰還特命チームリーダー。