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前統幕長の言葉から探る「日米同盟の抑止力」

(上)「令和の国防」を安倍内閣で自衛隊制服組トップを4年半務めた河野克俊氏に聞く

藤田直央 朝日新聞編集委員(日本政治、外交、安全保障)

「核なき世界」への反論から

 「自衛隊の戦い方は米国の核抑止に依存するのが前提」という河野氏の言葉の背景にある、「日米同盟の抑止力」という概念は、皮肉にも、「核なき世界」を掲げたオバマ前政権下の日米協議に端を発している。その舞台裏を筆者は昨年、朝日新聞でこの通り報じたが、簡単に振り返る。

米国の「核の傘」支える日本 「核なき世界」への反動が起点

 話は10年前にさかのぼる。2009年2月、オバマ政権の発足から間もないワシントンで、米政府の核戦略見直し(NPR)に提言するための米議会の諮問委員会が非公開で開かれた。同盟国政府へのヒアリングで、日本から秋葉剛男駐米公使(現外務事務次官)らが出席。「核のある現実」への対応を訴えた。

拡大2009年11月、初来日で演説するオバマ米大統領=東京・赤坂。朝日新聞社
 日本側は「ロシアとの核削減交渉で、中国の核軍備拡張と近代化に常に留意すべきだ」と念を押した。オバマ大統領が「核なき世界」に向けて米国と並ぶ核大国ロシアと交渉を進めることが、中国から日本を守る米国の「核の傘」をすぼめることになってはならないという趣旨だ。そして、米国の核戦略をめぐる日米協議の場を立ち上げるよう求めた。

 すると米議会諮問委の側からこんな意見が出た。「核以外での抑止はどうか。日本の攻撃能力だ」。日米協議の場で米国の核戦略だけでなく、日本の通常戦力のあり方も扱い、米軍と自衛隊で日本をどう守るかの全体像を考えようというのだ。

 なぜこんなややこしい議論が必要になったのか。それは、今世紀の北東アジアに、軍事力を高めた中国や北朝鮮にどう対応するかという、冷戦期以来の米ロ両核大国のにらみ合いとは別次元の状況が生まれたからだ。

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筆者

藤田直央

藤田直央(ふじた・なおたか) 朝日新聞編集委員(日本政治、外交、安全保障)

1972年生まれ。京都大学法学部卒。朝日新聞で主に政治部に所属。米ハーバード大学客員研究員、那覇総局員、外交・防衛担当キャップなどを経て2019年から現職。著書に北朝鮮問題での『エスカレーション』(岩波書店)、日独で取材した『ナショナリズムを陶冶する』(朝日新聞出版)

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