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ふるさと納税、もはや限界

「踏み絵」「パワハラ」泉佐野市が逆襲/矛盾が次々露呈、存廃判断の時

市川速水 朝日新聞編集委員

拡大泉佐野市が続けている「300億円キャンペーン」。アマゾンギフト券が最大30%ついてくる=同市HPから
 2019年6月1日から「ふるさと納税」が新しい制度へと移行する。返礼品に法的な規制を導入することで、国(総務省)が対象となる自治体を選別・指定するという、上意下達を形にしたものだ。

 これによって「豪華すぎる返礼品競争に歯止め」などの報道や他自治体の声もあるが、果たしてそうだろうか? 

 確かに返礼品競争は下火になるだろうが、寄付する側にとっては税優遇措置が受けられるかどうか自治体によって扱いが違うことになり、国から指定されるかどうかの基準も極めてあいまいだ。

 そもそも、「寄付」制度を「納税」にすり替え、「ふるさと」の定義もない。返礼品競争に発展するのを見通せなかった当局の甘さも露呈したといえる。

 新制度どころか、ふるさと納税制度そのものの存廃を考えなければならない大転換期ではないか。

確かに歯止めにはなるが…

 改正地方税法により、返礼品(調達費)は「寄付額の3割相当」を上限とし、地場産品に限られることになる。

 総務省が19年5月14日に発表した「総務大臣の指定」に関する内容は、次の通りだ。

①返礼品の基準を守らず多額の寄付を集めた大阪府泉佐野市、静岡県小山町、和歌山県高野町、佐賀県みやき町の4市町と申出書を提出しなかった東京都を制度の対象から外す
②豪華返礼品など寄付集めの手法には問題があったものの、それほど多額ではない43市町村は、当面4カ月間のみ対象とし、改めて申出・審査を受けて判断する
③寄付集めの手法に問題がないと判断した46都道府県、1694市区町村は2020年9月までの1年4カ月、ふるさと納税の対象団体として指定する

 アマゾンのギフト券や地元と無関係な旅行券などで多額の寄付を集めていた自治体は、ふるさと納税の優遇措置、つまり「寄付総額から2000円を引いた額が、一定割合を限度として所得控除や住民税控除にあてられる」という仕組みから排除されることになる。

 それ自体は確かに「歯止め」になる。

 問題の本質と現状の分析は、法改正前に書いた『ふるさと納税 泉佐野市の乱』で触れたので、多くは記さない。ただ、そこで挙げた「国が勝手な基準を設けていいのか」「自治体のアイデア競争までつぶしていいのか」「魅力ある地場産品のない自治体はどうすればいいのか」などの問題は棚上げされた。

 むしろ、これらの問題点はさらに複雑・多岐にわたり「固定化」されることになった。

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筆者

市川速水

市川速水(いちかわ・はやみ) 朝日新聞編集委員

1960年生まれ。一橋大学法学部卒。東京社会部、香港返還(1997年)時の香港特派員。ソウル支局長時代は北朝鮮の核疑惑をめぐる6者協議を取材。中国総局長(北京)時代には習近平国家主席(当時副主席)と会見。2016年9月から現職。著書に「皇室報道」、対談集「朝日vs.産経 ソウル発」(いずれも朝日新聞社)など。

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