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田中均氏「北朝鮮問題に包括的戦略を」

「米朝膠着」で「日朝対話」に繫がる可能性が出てきた。「結果を作る外交」が必要だ

田中均 (株)日本総合研究所 国際戦略研究所 理事長/元外務審議官

国交正常化につなげる包括的解決を外交目的に

拡大拉致問題の国民大集会で、あいさつする安倍晋三首相=2019年5月19日、東京都千代田区
 ここでしっかり理解しなければならない幾つかの点がある。

 第一に外交目的の再確認だ。日本の国益にとって拉致・核・ミサイル問題のいずれも重要であり、これらの問題を解決し、国交正常化につなげるという包括的解決こそが外交目的でなければならない。この点について国民の理解を得る努力をするべきだし、日朝対話のあらゆる局面で明確にしていかなければならない。

 国際社会では日本は拉致問題のみに関心があるととらえられている。以前はそうではなかった。1994年の第一次核危機に際しての合意は米朝による枠組み合意であったが、KEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)を中心としてこれを実施に移す仕組みを作るうえで日本の役割は大きかった。

 その後、核問題解決に向けて2003年から始まった日・米・中・ロ・韓国・北朝鮮の6者協議も日本が先導して構築された。拉致問題が重要なことは論を俟たないが、核・ミサイル問題の解決にも能動的に取り組まなければならない。

 第二に、拉致問題は残念ながら要求するだけでは解決に繋がらず、北朝鮮に解決の意思を持たせる状況を作らねばならない。このためには北朝鮮への経済協力が鍵となるが、核問題が現状のまま日本だけが経済協力に走る訳にはいかない。韓国も南北協力を促進したいと考えているが核問題が現状のままでは、経済協力は許されない。だからこそ、拉致・核・ミサイルの包括的解決と国交正常化の戦略を持つことこそが拉致問題解決の早道なのだ。

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筆者

田中均

田中均(たなか・ひとし) (株)日本総合研究所 国際戦略研究所 理事長/元外務審議官

1969年京都大学法学部卒業後、外務省入省。北米局審議官(96-98)、在サンフランシスコ日本国総領事館総領事(98-2000)、経済局長(00-01)、アジア大洋州局長(01-02)を経て、2002年より政務担当外務審議官を務め、2005年8月退官。同年9月より(公財)日本国際交流センターシニア・フェロー。2010年10月に(株)日本総合研究所 国際戦略研究所理事長に就任。著書に『日本外交の挑戦』(角川新書、2015年)、『プロフェショナルの交渉力』(講談社、2009年)、『外交の力』(日本経済新聞出版社、2009年)など。

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