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イランや北朝鮮の核は本当に「悪」なのか?

「核軍拡」に向かう世界。日本も安全保障についてナイーブではいられない

高橋 浩祐 国際ジャーナリスト

拡大トランプ大統領。イラクを威嚇する一方、北朝鮮のミサイル発射は問題視しないという=2019年5月24日、ワシントン

イランを威嚇するトランプ

 イラン情勢が一気に緊迫化している。はたしてイランは、アメリカの侵攻を受けたイラクの二の舞いになるのか。

 「もしイランが戦いたいなら、それはイランの正式な終わりとなるだろう。米国を二度と脅すな!」。トランプ米大統領は5月19日、ツイッターにこう投稿し、イランを強く威嚇した。

 アメリカが原子力空母と爆撃機を中東地域に派遣するなど、イランに対する圧力をぐっと強めている。これに対し、イランは対抗措置として、核合意の一部の義務に従わないと表明し、アメリカの圧力に屈しない姿勢を示している。

 いずれにせよ、両国は今後とも、特に世界の原油の約40%が通過するペルシャ湾のホルムズ海峡の制海権をめぐって、一触触発の事態を迎える可能性がある。

 一方、東アジアに目を転じてみれば、北朝鮮も5月に入り、短距離弾道ミサイルをたて続けに発射し、経済制裁を緩めないアメリカを強くけん制した。つまり、イランも北朝鮮も、非核化をめぐってアメリカとなかなか折り合いが付けられず、対立を続けている。

対立する核の「性善説」と「性悪説」

 そんななか、筆者は実はかねてから北朝鮮やイランの核が本当に「悪」なのかという、根本的な疑問に思い悩んできた。最近も、現在公開中の劇場映画『記者たち~衝撃と畏怖の真実~』を観て、そんな思いを強くした。この映画は、アメリカのジョージ・W・ブッシュ政権が「イラクが大量破壊兵器を保有している」という嘘の情報をメディアに次々とリークしながら、2003年にイラク戦争を開始した生々しい状況を描いている。

 アメリカの「侵略戦争」とも言えるこの戦争の結果として何が起きたか。正確な統計はないものの、イラクの民間人が10数万人から50万人死亡したと推計されている。過激派組織「イスラム国」(IS)も台頭した。

 イラクは1990年代初めの湾岸戦争敗北後、核開発を再開していないなか、2003年にアメリカの侵攻を受けた。ここでふと思う。あの時、イラクが核保有国として歴然と地位を確立していたならば、アメリカは果たして攻撃できたかと。

 国際関係論でも、核の拡散は「恐怖の均衡」で世界を安定させるという核の「性善説」を説く理論と、核の拡散は逆に世界を不安定化するという核の「性悪説」を説く理論が対立している。

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筆者

高橋 浩祐

高橋 浩祐(たかはし・こうすけ) 国際ジャーナリスト

英国の軍事専門誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」東京特派員。1993年3月慶応大学経済学部卒、2003年12月米国コロンビア大学大学院でジャーナリズム、国際関係公共政策の修士号取得。ハフィントンポスト日本版編集長や日経CNBCコメンテーターを歴任。朝日新聞社、ブルームバーグ・ニューズ、 ウォール・ストリート・ジャーナル日本版、ロイター通信で記者や編集者を務める。

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