円より子(まどか・よりこ) 元参議院議員、女性のための政治スクール校長
ジャパンタイムズ編集局勤務後、フリージャ―ナリスト、評論家として著書40冊、テレビ・講演で活躍後、1992年日本新党結党に参加。党則にクオータ制採用。「女性のための政治スクール」設立。現在までに100人近い議員を誕生させている。1993年から2010年まで参議院議員。民主党副代表、財政金融委員長等を歴任。盗聴法強行採決時には史上初3時間のフィリバスターを本会議場で行なった。
元参院議員・円より子が見た面白すぎる政治の世界⑪ 女には惜しい胆力・度胸にんっ?
連載・女性政治家が見た! 聞いた! おもしろすぎる日本の政治
1997年末、新進党が解党する前夜に同党を離党し、細川護煕さんとフロムファイブ、民政党、民主党と行動を共にしてきた私は(「変な党名から見えた細川護熙氏の新・新党への執念」参照)、細川さんが政界を去った後(「殿様のわがまま?還暦で引退」参照)、98年参院選に民主党から立候補して当選。参院議員として2期目を迎えた。法務委員会の理事になった私が全力を傾けたのは、“盗聴法”の成立をなんとしても阻止することだった。
参院選での自民党大敗を受け、橋本龍太郎政権にかわって発足した小渕恵三政権は、組織犯罪を捜査するため、電話やメールなど通信の傍受を捜査機関に認める法律、“盗聴法案”の成立をめざし、99年の通常国会に法案を提出した。法案は衆議院で強行採決され、参議院にまわってきたが、その成立を法務委員会で何としてもくいとめるというのが私の仕事だった。
いま、私は“盗聴法”と書いたが、政府に言わせると、「盗聴法ではありません。組織的通信傍受法と言って下さい」とのこと。そこで、国会で質問するときには、「いわゆる盗聴法は」と呼んでいたが、これがまたおかしな法律なのだ。
たとえば、あなたの息子がたまたまテロ犯ではないかと疑われた人物と付き合っていたとする。すると、あなたの息子はケータイも家の固定電話も、どこに通話をしたり、連絡をとったりしたかが何カ月間、すべてチェックされる。そう、“盗聴”されるのだ。
疑いが晴れると、盗聴も終る。だが、その間、盗聴されていたことも知らされず、プライバシーがすべて他人に知られている。こんな気味の悪いことがあるだろうか?
組織的テロの根元を抑えるに有効な手段だと政府は答弁していたが、参議院の審議の一環としてNTTに視察に行き、技術者の話を聞いたら、ケータイから盗聴する技術はまだないということが判明した。まったくわけが分からなかった。
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