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盗聴法に抗った73日。男性議員の微妙な褒め言葉

元参院議員・円より子が見た面白すぎる政治の世界⑪ 女には惜しい胆力・度胸にんっ?

円より子 元参議院議員、女性のための政治スクール校長

衆参とも自自公の「与党」が多数の国会

拡大衆議院で「盗聴法」が強行採択されたことに対する抗議集会で発言する円=1999年6月1日(筆者提供)
 衆議院で強行採決され、国会用語でいうところの「荷くずれ」のかたちで参議院に来た盗聴法だが、衆議院で可決したからこそ、参議院に送付されたというのは厳然たる事実である。では、当時の国会の勢力はどうだったか。

 小渕政権は98年後半から、新進党を解党した小沢一郎さんが率いる自由党や、同じく新進党の解党を受けて結成された新たな公明党との連携を深めていた。自由党とは99年初めに「自自連立政権」を樹立、公明党とも関係を深め、99年の通常国会においては、衆参とも事実上、自自公による「与党」が多数を占める態勢ができあがっていた。具体的には、衆議院では500人中356人、参院では252人中140人を自自公だった。

 98年の秋まで、私は参議院法務委員会で児童買春児童ポルノ禁止の法案や指紋押捺の問題について、公明党と協力してやってきた。法務委員会の公明党の理事は私の大学の後輩でもあり、気心が知れていて、一緒に仕事ができて楽しかった。そのときは盗聴法に敢然と反対していた彼女が、公明党が与党に与したとたん、賛成にまわった。野党である私たちの国会運営はかなり厳しかった。

 人々のプライバシー侵害の道具になる可能性があり、思想信条の自由さえ侵される危険性もある盗聴法を廃案にと私たちは意気込んでいたが、どう考えても数で負ける。そのうえ、与党に2カ月近くも国会を延長されたのだからたまらない。どういうことか。

憲法59条と与党の戦術

 憲法59条の中身を知っている人はあまり多いと思えないが、そこに次のような規定がある。

――参議院が、衆議院の可決した法律案を受けとった後、国会休会中の期間を除いて60日以内に議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律を否決したものとみなすことができる。

 盗聴法は6月1日に衆議院から参議院に送付されている。たとえ参院で私たち野党が強力に抵抗して、成立させない状況に持ち込んでも、6月1日から60日目の7月30日を迎えると、憲法59条の規定により参議院は法案を否決したものとみなされるのである。

 衆参で異なった議決になると、法案は再び衆議院に差し戻され、出席議員の3分の2以上の多数で可決したら、法律として成立する。前述のように、衆議院で自自公は3分の2をゆうに超えている。そこで、与党は6月17日の国会閉会日を8月13日まで延長し、参議院で否決されたことにしようと考えたのだ。さて、どうするか。

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筆者

円より子

円より子(まどか・よりこ) 元参議院議員、女性のための政治スクール校長

ジャパンタイムズ編集局勤務後、フリージャ―ナリスト、評論家として著書40冊、テレビ・講演で活躍後、1992年日本新党結党に参加。党則にクオータ制採用。「女性のための政治スクール」設立。現在までに100人近い議員を誕生させている。1993年から2010年まで参議院議員。民主党副代表、財政金融委員長等を歴任。盗聴法強行採決時には史上初3時間のフィリバスターを本会議場で行なった。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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