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大人が、若者や子どもの未来を奪っていった

5月23日(木) 朝、横浜市内の某所にて大事な取材のため赴くが、いかなる事情か空振りに終わった。一体何があったのか。まいった。それまでに非常に神経を集中していたので疲れた。時間がぽっかりと空いてしまったので、見たいと思っていた東京都写真美術館の宮本隆司写真展「いまだ見えざるところ」とユージン・スミスらの「場所をめぐる4つの物語」をみる。外は快晴で、まだ湿気がきつくないので気持ちがいい。

「面縄ピンホール2013」(2013年、東京都写真美術館蔵)が展示された会場拡大宮本隆司の作品「面縄ピンホール2013」(2013年、東京都写真美術館蔵)が展示された会場=東京都写真美術館

 シリアからドイツに脱出したタラル・デルキ監督のドキュメンタリー作品『テロリストの息子に生まれて』(原題Of Fathers and Sons)をみる。シリア国内で反政府戦闘を続けているヌスラ戦線の戦士家族の「狂気」のなかの濃密な親子関係。わが子をジハード(聖戦)へと駆り立てる父親。学校よりもジハードを選ぶ子どもたち。ジハード戦士になるための軍事訓練を受けて「洗脳」されていく子どもたち。どこかに既視感がある。デジャビュ。そうだ。神風特攻隊だって、年若い兵士たちが、このような自爆攻撃に駆り立てられていったのだ。はっきりとこう言わねばならない。大人たちが、若者たち、子どもたちの未来を奪っていったのだ、と。

 けさの朝日新聞は芸能タレントの大麻事件を写真付きだがベタ記事の扱いにしていて、なるほどと思ったが、さらに

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筆者

金平茂紀

金平茂紀(かねひら・しげのり) TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

TBS報道局記者・キャスター・ディレクター。1953年、北海道生まれ。東京大学文学部卒。1977年、TBSに入社、報道局社会部記者を経て、モスクワ支局長、「筑紫哲也NEWS23」担当デスク、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長、コロンビア大学客員研究員などを経て、2010年より「報道特集」キャスター。2004年、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『沖縄ワジワジー通信』(七つ森書館)、『抗うニュースキャスター』(かもがわ出版)、『漂流キャスター日誌』(七つ森書館)、『筑紫哲也『NEWS23』とその時代』(講談社)など多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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