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米・イランの対立に影を落とすイラク情勢

アメリカが再建したイラクが、深くイランに依存する状況に

酒井啓子 千葉大学グローバル関係融合研究センター長

拡大中東への米軍増派に関して、ホワイトハウスで記者の質問に答えるトランプ米大統領=2019年5月24日、ワシントン、ランハム裕子撮影

 5月に入り、イランとアメリカの緊張が急速に高まっている。1年前のアメリカによる対イラン核開発協議からの離脱と、それに続く対イラン経済制裁の再開が本格化するなかで、イランもまた、核開発協議で上限を定められているウラン濃縮の再開を宣言するなど、双方強硬姿勢の応酬だ。アメリカは、5月5日に空母リンカーンを中心とした部隊を中東に派遣することを発表し、ニューヨーク・タイムズは、トランプ政権がイランとの戦闘のために最大12万人規模の派兵を考えていると報じた。

 この米・イラン関係の対立を煽るように、ペルシア湾岸ではイラン・イスラーム革命防衛隊によると思われる攻撃によってサウディアラビアのタンカーが被害を受け(13日)、イランとサウディアラビアの代理戦争状態と化しているイエメン内戦では、ホーシー派によるミサイルがサウディアラビアの石油パイプラインを直撃した(14日)。19日には、トランプ政権がイラクに駐在するアメリカ人に対して不要不急の職員を引き上げるという決定を行い、それに呼応するように20日には主要な外交団が拠点を置くバグダードのグリーンゾーンで、ロケット砲がアメリカ大使館近くに撃ち込まれた。

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筆者

酒井啓子

酒井啓子(さかい・けいこ) 千葉大学グローバル関係融合研究センター長

1959年生まれ。東京大学教養学部卒、英ダーラム大学修士。アジア経済研究所研究員、在イラク日本国大使館専門調査員、東京外国語大学教授を経て現職。専門はイラク政治、現代中東政治。著書に『イラクとアメリカ』(岩波新書)、『イラク・フセイン政権の支配構造』(岩波書店)、『〈中東〉の考え方』(講談社現代新書)、『中東政治学』(有斐閣)等。

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