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小沢一郎「政権交代が『政治とカネ』を解決する」

(14)ロッキード事件の真相~日本の検察は米国の意向を汲んだのか

佐藤章 ジャーナリスト 元朝日新聞記者 五月書房新社編集委員会委員長

拡大初公判後の記者会見で検察を批判する小沢一郎氏= 2011年10月6日、東京・永田町

米国の意に沿わない政治家たち

 ロッキード事件が発覚した米国上院公聴会では、日本へのP3C売り込みに関して「政財界の黒幕」と言われた児玉誉士夫に対し総額21億円が支払われたことが明らかにされた。

――ロッキード事件は、全日空が導入したトライスターの問題と防衛庁が輸入した対潜哨戒機、P3Cの問題がありました。P3Cの問題の方では、児玉誉士夫氏に21億円が流れているという話でしたね。

小沢 それは、いろいろと何か言う人がいました。

――しかし、21億円というと大きい額ですよね。

小沢 はい。

――児玉氏というと、盟友関係にあった中曽根康弘氏が思い浮かべられます。また、児玉氏は米国CIAのエージェントではないかと常に疑われていました。それと比べれば、田中角栄とトライスターの関係は比較的事件化しやすかったのではないか、とも思われますね。

小沢 はい。それと、やはり田中さんは睨まれていたんですね、アメリカから。

――アメリカから?

小沢 うん。アメリカというのは単純なところがあるから。自分の敵か味方か、というような一方的な結論を出すことがあるからね。だからアメリカは今も失敗の連続なんだけど、田中さんはアメリカのオイル資本の不興を買ったのではないかという説がやっぱりあるんだな。

 だから、刑事免責を与えて証言させるという、制度としてありえないことも認めて証言させたからね。だから、アメリカ政府がその気になれば何でも抑えてしまうね。余計なことを喋るなとアメリカ政府が言えばそれで全部済んでしまうこともあるから。だから、その意味では、あの時、アメリカの意向がかなり入ってきたのではないか、という推測が成り立つね。

 ロッキード事件発覚間もない1976年2月16日夜、児玉誉士夫への国会医師団診察が行われたが「出頭できる状態ではない」と診断された。実はその日中、児玉の主治医である東京女子医大教授が児玉邸を訪れ、意識障害・昏睡状態を引き起こすセルシン・フェノバール注射を児玉に打っていたことがわかっている(「新潮45」2001年4月号掲載、天野恵一・東京女子医大脳神経外科助教授=当時=手記)。この主治医派遣の決定を下したのは自民党幹事長だった中曽根康弘だったのではないかと、当時衆院事務局で医師団派遣の調整をしていた平野貞夫元参院議員は著書『ロッキード事件「葬られた真実」』(講談社)で記している。さらにその4日後の20日には、ロッキード社出身の駐日米国大使ホッジソンは米国政府に対し、中曽根が事件を「もみ消す」ように要請してきたことを報告している。この文書は2010年2月12日、朝日新聞が初めて報道して明らかになった。

――事件が発覚した1976年2月、当時自民党幹事長だった中曽根康弘さんが米国大使に事件をもみ消すよう要請しましたね。

小沢 そのことはぼくは知らないけれど、不思議ではない。中曽根さんは田中の親父に頼まなければ総理になれなかったからね。

――田中さんをかばう意味でもみ消してくれと言っているのではなく、自分の関連で言っていたということは考えられませんか。

小沢 自分が? なるほど。しかし、それはぼくはわからん。ぼくはそれは知らない。

――田中さんは、首相在任当時、ソ連のチュメニ油田やオーストラリアのウラン鉱開発など独自の資源外交を展開して米国の不興を買ったという推測が根強くあるのですが、小沢さんはロッキード事件当時、そういうことを考えていましたか。

小沢 いや、当時は三木(武夫)さんの意図を考える方が大きかったと思う。ぼくとしてはそれが大部分だったな。ただ、その三木さんの意図にアメリカは応じていたわけだからね。アメリカの軍産複合体は政府と一体だから、いろいろと隠す気になれば隠せるわけだ。

 だけど、三木さんはとにかくやれというわけで事件化した。その動きを見て、アメリカの方も、あの田中はあちこち動き回っているから、この際やってしまえというようなことが合わさったのかもしれない。アメリカの影響が一番大きくてやられたんだとは思わなかったけど、やはり三木さんの影響は大きかったと思う。

――というふうに、当時は考えたわけですね。

小沢 はい。

――そして、その考えは後になっても変わらなかったですか。

小沢 やはり、そういうように働いたかな、ということだね。ぼくの件でも言われているが、田中の親父の時もアメリカの影というのはよく言われていました。だから、これは確証はないんだけど、アメリカが世界各地で、アメリカの意に沿わない政治家には何かの圧力を加えているというのは事実だと思います。

――事実ですか。

小沢 事実だと思う。自分の言うことはあまり聞きそうにない強力な政権は嫌うわけです。むしろ操り人形にできる政権が欲しいわけだ。他の国の例を見ると、アメリカがものすごく関与している事例があると思う。だから、田中の親父のこともぼくのこともあながち嘘ではないんだな、と思います。

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筆者

佐藤章

佐藤章(さとう・あきら) ジャーナリスト 元朝日新聞記者 五月書房新社編集委員会委員長

ジャーナリスト学校主任研究員を最後に朝日新聞社を退職。朝日新聞社では、東京・大阪経済部、AERA編集部、週刊朝日編集部など。退職後、慶應義塾大学非常勤講師(ジャーナリズム専攻)、五月書房新社取締役・編集委員会委員長。著書に『ドキュメント金融破綻』(岩波書店)、『関西国際空港』(中公新書)、『ドストエフスキーの黙示録』(朝日新聞社)など多数。共著に『新聞と戦争』(朝日新聞社)、『圧倒的! リベラリズム宣言』(五月書房新社)など。

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