花田吉隆(はなだ・よしたか) 元防衛大学校教授
在東ティモール特命全権大使、防衛大学校教授等を経て、早稲田大学非常勤講師。著書に「東ティモールの成功と国造りの課題」等。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
二大政党の凋落が続き、状況は流動化
ナーレス氏の辞任は単にSPD執行部の交代に止まらない。これを機に、ドイツ政治が一気に流動化する可能性がある。問題はナーレス氏の辞任を受け、SPDが大連立に止まるか、あるいはこれを解消する動きに出るかだ。恐らく、今のSPD執行部に大連立解消の選択肢はあるまい。これを解消し選挙にでもなればSPDの惨状は明らかだからだ。今のSPDに支持率回復の力はない。しかし、政治の世界は合理的判断だけでは決まらない。SPDの中には、もともと政権入りに反対する勢力があり、ナーレス氏はそれを抑えて党を大連立に持っていったのだ。ナーレス氏が党首の座から降りればSPDは野に下るべきだとする声が再び高まらないとの保証はない。
仮に大連立が崩壊すれば、選択肢は総選挙しかない。CDU/CSUがSPD以外の連立相手を探そうとしてもいないからだ。2017年9月から何か月もかけCDU/CSUが模索したジャマイカ連立は、合意に至ることなく頓挫した。それが、この時点で再び成立すると考える者はいない。何より、その時から状況が一変した。緑の党の躍進である。
緑の党の躍進は
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