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「日韓」の悪化、「対北朝鮮」に悪影響

日韓の相互不信は深まるばかり。これでは双方の北朝鮮交渉も進みそうにない

鈴木拓也 朝日新聞記者

拡大APECビジネス諮問委員会(ABAC)に臨む安倍首相。右は韓国の文在寅大統領=2018年11月17日、ポートモレスビー

南北交渉に打つ手なしの韓国

 韓国の文在寅政権が北朝鮮を過度に刺激したくない理由の背景には、国内での支持率低迷がある。

 ソウルの大学に通い、来年に就職活動を控える男子大学生は、収賄や横領の罪で有罪判決を受けた李明博元大統領を引き合いにこう話す。「最初はクリーンなイメージの文在寅を支持した。だけど、何もしてくれない。悪いことはしたが、経済政策にも取り組んだ李明博のほうがましだった」

 政権発足当初に8割を超えていた支持率は40%台後半に下落。経済政策や就職対策への不満から、特に20~40代の若い層の不支持が目立つ。韓国政府関係者は「文大統領が成果として誇れるのは、南北関係の改善くらい。北朝鮮が挑発行動を続けて再び緊張が高まるような事態は絶対に避けたい」と話す。

 北朝鮮に非核化を促すためには、昨年9月の南北首脳会談で合意した「平壌共同宣言」に盛り込まれる、開城工業団地や金剛山観光の再開、鉄道事業などの南北経済協力が必要との立場だ。

 だが、米朝交渉が行き詰まり、北朝鮮が期待する経済協力は進めることができない。人道的な観点からの食糧支援に限っては米トランプ政権が容認し、準備を進める。ただ、北朝鮮側は「我々の要求と大きな距離がある人道主義協力事業をめぐり、まるで北南関係が前進するかのように大げさにふるまうのは、同族への礼儀を欠く行為だ」(5月12日、北朝鮮のインターネット媒体「メアリ」)との批判を繰り返す。

日朝交渉の見通しも立たず

 有効な手立てが見つからないなかで最近、韓国政府関係者がよく口にするのは、皮肉にも徴用工問題などで関係が悪化した日本への期待だ。

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筆者

鈴木拓也

鈴木拓也(すずき・たくや) 朝日新聞記者

1975年、神奈川県生まれ。産経新聞社を経て、2003年に朝日新聞社入社。社会部で警視庁捜査1課、政治部で首相官邸や外務省などを担当。2017年4月から国際報道部に所属し、北朝鮮問題や日韓関係を中心に取材している。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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