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負傷者の搬送活動が続いていた。後方は「カリタス学園」と書かれたバス=2019年5月28日午前8時44分、川崎市多摩区登戸新町2019年0528拡大川崎殺傷事件当日の現場=2019年5月28日、川崎市多摩区登戸新町

5月28日(火) 朝、かなり早めに局に着いて雑件を片づけていたところ、川崎市内で異様な事件が発生したとの一報で、テレビをつけると空撮で現場を撮っている。午前7時40分ごろ、川崎市登戸の駅近くで、男が児童や保護者を次々と刃物で襲ったという。いわゆる「通り魔」事件か。「報道特集」の定例会議中も、そのことが気になって、何だか気が気でなかった。その後、情報が入るに従って、被害の全容の異様さが刻々と伝わってきた。スクールバス待ちの児童が被害にあったようだ。女児1人と保護者1人が死亡し、重傷者も多数出たようだ。襲った男は自殺をはかり、その後死亡が確認された。何という無残な犯行だろうか。動機などはまだ不明だが、読売新聞の夕刊だけが被疑者の氏名を報じていた。その後、夜になってNHKなども報じ始めた。「ニュースウオッチ9」をみていたら、自宅に記者が訪ねて行ってチャイムを押していた。無反応だったが、ちょっと驚いた。その後、県警の人間がその自宅に入っていったので、中には家族がいたようだ。

 パソコンが不調になってまいった。午後遅く、除染費用の54%もがいわゆる「減容化施設」(汚染物資の焼却等施設)の建設解体に使われている実態について原子力市民会議のブリーフィングがあった。除染についてはとても興味があるので参加した。「除染ビジネス」の内実は取材に値する。

 その後、局に戻ってテレビをみ続けるが、川崎の事件の現場取材に行くべきだったと強く反省した。僕は記者なのだから。基本的な動作が弱ってきていないか、僕らは。被害に遭ったカリタス学園の校長が「マスコミの皆さん、どうか子どもたちの写真を撮ったり、インタビューをしないでください」と語気を強めて発言していた。夜になって雨が降り出している。

5月29日(水) 未明に外で雨が強く降っているので目が覚めた。まだ午前5時前だ。 PCが不調になってしまい、やむを得ず、出張業者にみてもらう。2年ぶりのことだ。最悪の事態は免れたか。朝から情報番組は、川崎の事件を詳報している。犯行に及んだ51歳の男性に関する情報に焦点が移ったようだ。自殺願望と無差別襲撃が合体したケース。近隣とのトラブルも頻発していた上に、生育家庭環境は薄幸のようだ。ある種の社会的な背景も徐々にみえてきた。

 その後、銀座へ移動して「映画と社会」をめぐる鼎談。小森陽一さん、望月衣塑子さんと。その後、現代美術家協会の現展へ。さらにその後、早稲田大学関係のガイダンス。僕らとの鼎談の後、望月さんは官房長官記者会見で、菅氏から「暴言」を浴びせられたことを知る。

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筆者

金平茂紀

金平茂紀(かねひら・しげのり) TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

TBS報道局記者・キャスター・ディレクター。1953年、北海道生まれ。東京大学文学部卒。1977年、TBSに入社、報道局社会部記者を経て、モスクワ支局長、「筑紫哲也NEWS23」担当デスク、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長、コロンビア大学客員研究員などを経て、2010年より「報道特集」キャスター。2004年、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『沖縄ワジワジー通信』(七つ森書館)、『ロシアより愛を込めて――モスクワ特派員滞在日誌 1991-1994』(筑摩書房)、『二十三時的――NEWS23 diary 2000-2002』(スイッチ・パブリッシング)など。共著に『テレビはなぜおかしくなったのか<原発・慰安婦・生活保護・尖閣問題〉報道をめぐって>』(高文研)、『内心、「日本は戦争をしたらいい」と思っているあなたへ』(角川書店)など多数。

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