メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

無料

参院選に影響?「老後2千万円不足」問題の波紋

有権者の「年金」に寄せる関心はこれまでとはケタ違いに

田中秀征 元経企庁長官 福山大学客員教授

拡大参院選に向けた自民党の選挙公約を掲げる岸田文雄政調会長=2019年6月7日、東京・永田町の党本部、

投票態度を決める理由は「年金」か

 衆議院や参議院の国政選挙では、選挙戦中はもちろん、その前後でも頻繁に世論調査を実施する。

 どこの党、どの候補に投票するか。そして、投票したか。私も長い間、そうした調査の結果に振り回されたが、かなり精度が高いことは認めざるを得ない。選挙戦の途中などで、「もう一歩」とでも書かれると、陣営の士気は一気に上がり、当選が視野に入ってくる。「独自の戦い」などと書かれたら、当選の可能性はないと決めつけられたことになる。

 さて、そうした調査では、どの党、どの候補に入れるか、入れたかを訊くと同時に、なぜ入れるか、なぜ入れたかも訊く。いわば、投票する候補を決めた理由である。

 それは、所属する党であったり、候補の人柄であったり、あるいは他の党の候補を落としたかったからであったり、理由はそれこそ千差万別だ。

 さらに、メディアは政策を幾つか示して、投票先を決めるにあたって考慮した政策を、回答者に尋ねる。国政選挙の場合、一般に「景気」がトップか上位になることが多い。ただ、前回、2017年の衆院選では、「憲法・安全保障」に関心を寄せる人が、従来にも増して多かった。「集団的自衛権の行使」を容認する安保関連法を成立させたり、憲法改正に積極姿勢を見せたりする安倍晋三政権の性格や、衆院選前にブームをつくった小池百合子・東京都知事の同様のスタンスが影響したのだろう。

 今回の参院選はどうだろう? これまで、投票先の理由として「景気」や「年金」をなんとなく意識していた有権者が、今回は迷うことなく、それらをもとに投票態度を決定する雲行きになっているように見える。特に「年金」については、例の「老後2千万円不足」の報告書によって、有権者の怒りに火が付きつつある。


筆者

田中秀征

田中秀征(たなか・しゅうせい) 元経企庁長官 福山大学客員教授

1940年生まれ。東京大学文学部、北海道大学法学部卒。83年衆院選で自民党から当選。93年6月、自民党を離党し新党さきがけを結成、代表代行に。細川護熙政権で首相特別補佐、橋本龍太郎内閣で経企庁長官などを歴任。著書に『平成史への証言 政治はなぜ劣化したのか』(朝日選書)https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=20286、『自民党本流と保守本流――保守二党ふたたび』(講談社)、『保守再生の好機』(ロッキング・オン)ほか多数。

田中秀征の記事

もっと見る