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参院選に影響?「老後2千万円不足」問題の波紋

有権者の「年金」に寄せる関心はこれまでとはケタ違いに

田中秀征 元経企庁長官 福山大学客員教授

参院選公約トップは「経済」ではなく「外交」

 自民党は6月7日、参院選の公約を決定、発表した。驚くのは、通常は公約のトップの座を占める「経済」が、今回はその座を「外交」に譲ったことだ。

 3月の景気動向指数が「悪化」を示したことはすでに書いたが(「衆参同日選の流れはどうなる!」参照)、4月もまた「悪化」を示した。ただ、精査すると「悪化」の度合いは改善されているようで、6月の月例経済報告も「緩やかな回復」とされるだろう。

 ただ、国会の会期延長、衆参同日選、消費増税の先送りといった、不退転の決意を要する「荒事」は断念されたようだ。報道によると、参院選単独でも与党は勝てると見込んでのことだという。そうすると、大方の見るところ、秋の大嘗祭の後、11月頃の衆院解散・総選挙か。だが、その頃は消費増税の影響、中国経済の減速、さらに日米交渉の厳しい結果が重なって、景気は楽観を許されない状態に陥る可能性が高い。解散・総選挙は予想以上に無謀なものになるかもしれない。

 こうした経済の流れは、政府も自民党も想定しているだろう。だから、参院選の公約で、経済よりも外交をトップに据えたのに違いない。

安倍外交、評価できる点もあるが……

拡大イランのロハニ大統領(右)との共同記者発表を終え、握手を交わす安倍晋三首相=2019年6月12日、テヘラン
 安倍外交は、対インドで大きな成果を挙げてきた。最近は対イランでも独自の役割を果たそうとしている。確かに評価できる点も少なくない。

 だが、肝心の対北朝鮮、対ロシアでは足踏みを続け、最近ではむしろ悪あがきとさえ見えることがある。

 「在職が長いから、何か大きな成果をあげなければならない」と焦る必要はない。焦って拙速な手を打って、外交の筋を曲げていると誤解されれば、大きな悔いを後世に残すことになるであろう。「見せる外交」はほどほどにしてほしい。

 おりしも、中東ホルムズ海峡付近のオマーン湾で、日本の海運会社が運航するタンカーが攻撃を受けたというニュースが飛び込んできた。日本とイランの首脳外交との関係性はまだはっきりしないが、首脳外交の危うさをあらためて認識させられる。


筆者

田中秀征

田中秀征(たなか・しゅうせい) 元経企庁長官 福山大学客員教授

1940年生まれ。東京大学文学部、北海道大学法学部卒。83年衆院選で自民党から当選。93年6月、自民党を離党し新党さきがけを結成、代表代行に。細川護熙政権で首相特別補佐、橋本龍太郎内閣で経企庁長官などを歴任。著書に『平成史への証言 政治はなぜ劣化したのか』(朝日選書)https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=20286、『自民党本流と保守本流――保守二党ふたたび』(講談社)、『保守再生の好機』(ロッキング・オン)ほか多数。

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