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山本太郎・れいわ新選組が選挙で伸びる三つの根拠

左派ポピュリズムのど真ん中の政策。国民の間の「ルサンチマン」も後押し

米山隆一 衆議院議員・弁護士・医学博士

左派ポピュリズムのど真ん中の政策

 れいわ新選組のなによりの特徴は、その政策が「左派ポピュリズムど真ん中」であることです。

拡大図1
拡大図2

 ありがちで恐縮なのですが、政党を「国家志向-個人志向」「拡張財政志向-均衡財政志向」でわけた四分図で示すと、上記のようになると私は思っています(恐縮ながら社民党と共産党は除いています)。

 日本の政治における最大のプレーヤーである自民党が、「国家志向-拡張財政志向(公共事業型)」であるために、野党主流派(民主党系)はこれへの対抗軸として、「個人志向-均衡財政志向」でした。従前から、野党は福祉の拡充は訴えていましたが、それはあくまで「困っている人を救う」ための福祉・貧困対策です。野党主流派は自民党のばら撒きを批判してきた手前、自らはばらまきと言われるような政策を大っぴらに主張できなかったのです。

 従来の与野党の対立は、「清濁併せ呑む自民党(国家のために動き、財政を大きく使う)」と「清貧な野党(個人のために動き、必要以上に財政を使わない)」という「清貧度」軸にそったものであったと言えます(図1)。

 そのため、従来は図1の「左上」の部分、「個人志向-拡張財政志向」という本来であれば左派ポピュリズムど真ん中の位置が空いていたのですが、山本太郎・れいわ新選組は、まさしくこのど真ん中に位置するものだと言えます(図2)。

 勝手にそのエッセンスを抜き出すなら「福祉・貧困対策の枠組みを超えて、財政を通じて個人に富を分配しよう!」というものであり(最低賃金1500円、奨学金徳政令、1次産業所得補償はまさしくそう言う政策です)、自由主義社会における左派(中央集権・共産主義でない左派)政策そのものなのです。

 れいわ新選組の登場によって与野党の間に、新たに「分配方法」軸――すなわち、①国家のための分配を、財政によらず(企業・集団を通じて)行うか、②個人のための分配を、財政によって行うかの――という対立軸が生まれることになります(図2)

「平等・正義」は多数派を糾合する旗印になりづらい

拡大記者会見をする山本太郎氏=2019年5月31日
 最近、政治関係者の皆さんと話す機会が増えているのですが、そのなかでれいわ新選組が話題に上ると、野党関係者の方々から「いや、俺たちもああいう主張をしたいんだ。でも政治家たるもの、分別のある主張をしなければいけないっていう縛りみたいなものがあって、出来ないんだよ」という反応を多く聞きます。

 立憲民主党を代表とする野党陣営は、上記の通りどうしても従来の「清貧度軸」に沿って「平等」「正義」を主張しがちです。とはいえ、いかに野党支持者とはいえ、人は自分に直接関係のない平等・正義にはそこまで強い関心を持ちません。そして、ある程度平等・正義が実現した社会において、不平等・不正義に曝(さら)されるのは少数派です(だからこそ問題になるのですが)。

 従って、平等・正義は極めて重要なものではあるのですが、すでに一定程度それが実現した社会においては、多数派を糾合する旗印には実のところなりづらいものなのです。

 これに対し、れいわ新選組が旗印に掲げる、福祉対策・貧困対策の枠を超える「財政を通じて個人に富を分配しよう!」という政策(最低賃金1500円、奨学金徳政令、1次産業所得補償等)は、過半数とは言わないまでも、相当数の人がその利益に預かれるもので、野党支持者の多くに訴求します。同時に、「分配」政策はもともと自民党的な政策という要素もあり、与党支持層にも相当程度に訴求しえるものです。

 極めて単純で身もふたもないといえばそれまでですが、れいわ新選組の掲げる左派ポピュリズムど真ん中の政策は、そのポピュリズム性ゆえに、与野党の枠を超えて多くの人に訴求しうると思われるのです。

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筆者

米山隆一

米山隆一(よねやま・りゅういち) 衆議院議員・弁護士・医学博士

1967年生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学医学系研究科単位取得退学 (2003年医学博士)。独立行政法人放射線医学総合研究所勤務 、ハーバード大学附属マサチューセッツ総合病院研究員、 東京大学先端科学技術研究センター医療政策人材養成講座特任講師、最高裁判所司法修習生、医療法人社団太陽会理事長などを経て、2016年に新潟県知事選に当選。18年4月までつとめる。2022年衆院選に当選(新潟5区)。2012年から弁護士法人おおたか総合法律事務所代表弁護士。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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