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「挫折」から「一強」へ。安倍晋三政権の権謀術数

平成政治の興亡 私が見た権力者たち(19)

星浩 政治ジャーナリスト

参院選勝利で改憲の環境は整ったが……

 参院選は6月22日公示、7月10日投票で行われた。アベノミクスの成果などを掲げて攻勢を強める自民、公明両党に対して、野党側は民主党から民進党に改名した岡田代表が共産党を含めた候補者調整に動き、32の「1人区」で候補者の一本化に成功。自民党対野党という対決構図をつくった。

 結果は、1人区では自民対野党が21対11だったが、全体では、自民党が改選50議席から56議席に増加。公明党は改選9議席を14議席に増やした。民進党は改選43議席に対して32議席にとどまった。その他はおおさか維新7議席、共産党6議席など。自民、公明、おおさか維新など憲法改正に前向きな勢力は、非改選を含めて参院全体の3分の2を上回り、憲法改正の環境は一応整った。もっとも、「改憲勢力」といっても憲法改正についての自民党と公明党との立ち位置は大きく隔たっており、参院選後も両党の歩み寄りは進んでいない。

拡大トランプ次期米大統領(右)と会談し、握手する安倍晋三首相=2016年11月18日、ニューヨーク、内閣広報室提供
 この秋、日本の同盟国であるアメリカで大きな政治変動が起こる。11月の大統領選で、メディアの大方の予想に反して共和党のトランプ氏が民主党のクリントン前国務長官を抑えて当選したのだ。“アウトサイダー大統領”のトランプ氏は「米国ファースト」を掲げて、アメリカの安全保障や経済政策を大きく変えていく。安倍首相は、トランプ氏が正式に大統領に就任する前の11月17日、ニューヨークを訪れて会談。日米同盟の重要性を確認した。その後、トランプ政権のアメリカは世界を振り回すことになる。

 年が明けて17年。通常国会が始まって間もない2月9日。朝日新聞の社会面に一つの記事が掲載された。大阪府豊中市の国有地が学校法人「森友学園」に大幅な値引きによって売却されたという。これが、「一強」を誇っていた安倍政権の足元を大きく揺らすことになる。

次回は最終章。森友・加計疑惑に揺れる安倍政権と平成から令和への代替わり、そして参院選の攻防を描きます。7月の参院選後に公開予定。


筆者

星浩

星浩(ほし・ひろし) 政治ジャーナリスト

1955年福島県生まれ。79年、東京大学卒、朝日新聞入社。85年から政治部。首相官邸、外務省、自民党などを担当。ワシントン特派員、政治部デスク、オピニオン編集長などを経て特別編集委員。 2004-06年、東京大学大学院特任教授。16年に朝日新聞を退社、TBS系「NEWS23」キャスターを務める。主な著書に『自民党と戦後』『テレビ政治』『官房長官 側近の政治学』など。

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