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「香港デモ」を読み間違えた中国・香港政府

「天安門事件」30周年と重なった未曽有の香港デモを受けて中国はどうするべきか

田中秀征 元経企庁長官 福山大学客員教授

拡大デモ参加者が車道になだれ込み、身動きがとれなくなったバス=2019年6月16日、香港

未曽有の参加者となった香港デモ

 世界が固唾(かたづ)を飲んで見守っている香港の大規模デモは、一定の成果を挙げて一段落した。

 それにしても、6月9日に103万人と発表されたデモの参加者が、1週間後の16日には200万人を超えたというから驚く。主催者発表の動員数だから鵜呑みにはできないにしても、写真や映像を見る限り、大変な盛り上がりだ。

 香港の人口が750万人。そのうち中国からの移住者150万人、それに高齢者や子どもたちを除いて考えると、未曽有の参加者数といえる。

“中国化”の波にのみ込まれることへの懸念

拡大香港の逃亡犯条例改正案に反対するデモ行進で、路上を埋め尽くす市民ら=2019年6月9日、香港
 デモの主張は「逃亡犯条例改正案」の撤回である。この改正案が成立すれば、香港にいる刑事事件の犯罪容疑者を中国本土に引き渡すことが可能になってしまう。

 容疑者だから、無実の人が含まれるかもしれない。また、中国政府に対して批判的な人を容疑者にでっち上げることもできるかもしれない。“中国化”の波にのみ込まれ、これまで香港が誇りにしてきた「自由」と「民主主義」が息絶えてしまう――。今回の法改正に対し、市民の間にはそうした懸念が広がった。

 だが、香港政府の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は、9日の「103万人デモ」に遭遇しても強硬姿勢を崩さなかった。そして、そのデモを評して、「法律を顧みない暴動行為」と決めつけたのである。

 1989年、中国・北京を舞台に起きた「天安門事件」を、中国共産党が「動乱」と決めつけたことが事態を急激に悪化させたが、今回も30年前同様、そうなった。


筆者

田中秀征

田中秀征(たなか・しゅうせい) 元経企庁長官 福山大学客員教授

1940年生まれ。東京大学文学部、北海道大学法学部卒。83年衆院選で自民党から当選。93年6月、自民党を離党し新党さきがけを結成、代表代行に。細川護熙政権で首相特別補佐、橋本龍太郎内閣で経企庁長官などを歴任。著書に『平成史への証言 政治はなぜ劣化したのか』(朝日選書)https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=20286、『自民党本流と保守本流――保守二党ふたたび』(講談社)、『保守再生の好機』(ロッキング・オン)ほか多数。

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