どうした、枝野幸男! 2年前の原点を忘れるな
いざ参院選へ。野党は言葉を磨け。怒りをこめて、社会を創り直そう
保坂展人 東京都世田谷区長 ジャーナリスト

記者会見に臨む立憲民主党の枝野幸男代表=2019年3月28日、国会
長期政権による緩みや不祥事が続いているが…
7月4日公示・7月21日投票の参議院選挙がやってきます。
政府・与党には長期政権による緩みや不祥事が続いていますが、これを許している野党の現状はより危機が深いと感じています。
野党から「必ず勝って社会を変えてみせる」というパッションを感じさせる言葉がもっと鮮明に聞こえてこなければ、参議院選挙の投票率は上がらず、現状追認の結果が予想できます。
安倍晋三首相は、国会を延長せず、衆議院の解散もしない考えを表明しました。当初は「参議院選挙単独でも勝てる」という世論調査による情勢判断から「衆参ダブル選挙を見送った」と報道されていましたが、「年金炎上」の気配が濃厚になり与党有利の状況とは読みきれなくなったことも「解散見送り」の背景にあるのでしょう。
「年金だけでは2000万円足りない」という内容の金融庁の「金融審議会『市場ワーキンググループ』報告書」(2019年6月3日公表)が投げかけた波紋は、またたく間に広がりました。誰もが抱いている不安であるだけに、ワイドショーが一斉に年金制度の解説を始める状況となりました。
さらに、「炎上」の勢いを増すかのように油を注いだのが、麻生太郎財務大臣の横柄な言いぐさと、子ども騙しのような「審議会報告書を受け取らない」という稚拙な対応です。これまでなら、政権運営の危機=危険水域に近づいてもおかしくない事態です。
そうしたなかで6月19日、約1年ぶりに「党首討論」が行われました。焦点は、先の「年金2000万円報告書」の扱いをめぐって「年金不安」に絞られました。
ただし、45分という短時間の枠の中に4党の党首が入れ替わり立ち替わり登板する「党首討論」の形式では、安倍首相が得意とする相手の話がなかったかのような「独白的おしゃべり」を繰り返す性格が変わらない限り、与野党で論点を深め議論を展開する「討論」は望むべくもありません。