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どうした、枝野幸男! 2年前の原点を忘れるな

いざ参院選へ。野党は言葉を磨け。怒りをこめて、社会を創り直そう

保坂展人 東京都世田谷区長 ジャーナリスト

拡大3選を決め支援者らと喜ぶ保坂展人氏=2019年4月21日、東京都世田谷区太子堂

「暮らしの言葉」がすべてだった世田谷区長選挙

 ちょうど2カ月前、私は東京最大の自治体である世田谷区の区長選挙で、自民党推薦の女性候補を破って、3選を決めました。

 私と得票数は、18万9640票で、一方の三井みほ子さん(自民党推薦)は12万898票でした。私は、人口91万人規模の都市部での選挙戦の経験を、「『保坂展人から野党へ 与党支持者を取り込むコツ』 (論座・2019年5月11日)として書いています。

 政治家が発していく演説内容が、暮らしの現場に生きている人々の心に届く「言葉」であるかどうかが試されるのは国政選挙でも同じではないでしょうか。「生活実感」の核心にさわり、有権者と候補者が共振・共感するところまで到達出来るかが問われます。
 「安倍一強」と呼ばれる現政権の奢りや、強い者にチャンスが与えられる一方、多くの人々からは希望が奪われる格差社会…。社会保障制度が後退していくことへの言い知れぬ不安やおそれ、少子高齢化が加速することへの閉塞感等、暮らしの中で醸成される「生活実感」に触れていくためには対話が不可欠です。…政治家は、語りだす前に聴くべきです。「傾聴活動」の厚みがあるなら、「生活実感」から遊離した言葉は出にくくなります。
 「政治不信」を超える共通言語は、垂直的な統治関係を水平的な共有関係に置き換えることで生まれてきます。私は、選挙期間中に「一票を投じて下さい」というお願いや、「信頼してまかせて下さい」という信託依頼は、ほとんどしませんでした。

 区長選挙の選挙期間はたった1週間です。それでも、歩いている時や、演説中、また昼食中でさえ多くの有権者から声をかけられました。「夫が認知症が始まってきているみたい。どうしたらいいですか」「私たち高齢者のことも考えて」という声からは、変化の早い社会の波間に揺れる高齢者の暮らしがあり、「認可保育園に入れて良かった。できれば兄弟一緒の園に行きたいんだけど」という声からは、全国で最も厳しい認可保育園入園に向けて、「保活」に相当の時間を費やした姿が見えてきます。選挙期間は、密度の濃い対話が集積していきました。

 自治体の首長選挙は、国政選挙とは違って直接的には「外交・安保」等の話題は出てきません。私が聞き続けたのは、暮らしの現場からの声や生活実感から出てくる声ばかりでした。子育て、教育、介護、医療、年金、障がい福祉等の身近な悩みや心配事、「認知症」や「ひきこもり」「生活困窮」等、個人や家族単位ではなかなか解決の難しい事柄も多く、いずれも国政上の重要な社会政策と結びついています。

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筆者

保坂展人

保坂展人(ほさか・のぶと) 東京都世田谷区長 ジャーナリスト

宮城県仙台市生まれ。教育問題などを中心にジャーナリストとして活躍し、1996年から2009年まで(2003年から2005年を除く)衆議院議員を3期11年務める。2009年10月から2010年3月まで総務省顧問。2011年4月より世田谷区長(現在3期目)。 著書:「相模原事件とヘイトクライム」(岩波ブックレット)、「脱原発区長はなぜ得票率67%で再選されたのか?」(ロッキング・オン)、「88万人のコミュニティデザイン 希望の地図の描き方」(ほんの木) 近著に「〈暮らしやすさ〉の都市戦略 ポートランドと世田谷をつなぐ」(岩波書店2018年8月)、「子どもの学び大革命」(ほんの木2018年9月)他

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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