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香港デモの背後に見える「中国化」への我慢の限界

条例改正案を契機に始まった経済と民生の問題を解決しない政府に対する抗議活動の面も

姫田小夏 フリージャーナリスト

老舗看板も雲散霧消

 英国から香港が中国に返還される7年前の1990年に制定された「香港特別行政区基本法」には、「1997年の返還以降も、従来の資本主義制度と生活様式は50年間変えない」と定められていたのだが、現実はそうではなかった。

 目抜き通りのネイザンロードはあたかも“上海の淮海路”のようだった。中国客相手の「周大福」「周生生」などの貴金属店や、中国客好みの「莎莎」「卓悦」などのドラッグストアがテナントを埋め、筆者の記憶に残る香港の街並みとはすっかり違うものになっていた。

 香港名物だった路地裏の食堂も、「この道何十年」という老舗看板はすでに雲散霧消していた。現地に長い日本人も「かつて10香港ドルで食べることができたワンタンは、今や40香港ドルです」と嘆く。テナント料がうなぎ上りの香港では、「ワンタン一杯」ではもはや自営業は成り立たず、「資本力のある中国チェーン店」ばかりが目に入る。

 地価の高騰は十数年前から始まっていた。香港不動産の転売で大陸の富裕層が荒稼ぎしていることは、当時筆者が住む上海でもニュースになっていた。その結果、庶民の住宅購入は「夢のまた夢」となってしまった。

 香港には英国統治時代に開発された公営住宅が多数あり、人口のおよそ3分の1がそこに居住しているというが、入居を申請しても平均5年半は待たされるという。

拡大街は大陸観光客目当てのドラッグストアだらけ

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筆者

姫田小夏

姫田小夏(ひめだ・こなつ) フリージャーナリスト

東京都出身。アジア・ビズ・フォーラム主宰。上海財経大学公共経済管理学院・行政管理学修士(MPA)。中国ウォッチは25年超、うち約15年を上海で過ごす。1998年末に上海で、2002年には北京で、日本人向けビジネス情報誌を創刊し、10年にわたり同誌編集長を務める。2008年春に退任後、中国とアジアを追うフリージャーナリストとして活動を開始。2014年以降は東京を拠点に内外を現地取材、中国が遂げる変革の行方、インバウンドがもたらす日本の変化、アジアにおける中国の影響をローアングルで追っている。著書に『インバウンドの罠』(時事通信出版局)ほか、長期連載にダイヤモンドオンライン『チャイナレポート』など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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