人口減少問題解決のカギは女性の政治参加にあり
元参院議員・円より子が見た面白すぎる政治の世界⑮平成で解決できなかった日本の課題
円より子 元参議院議員、女性のための政治スクール校長
支えてくれた多くの人たち

アベ政治を許さないの旗を掲げ、杉並区内で活動を続けていた円より子=2016年1月25日
女性政治家として、女の細腕で、政治の何が変えられると、多くの人から嗤(わら)われた。
「女だてらに」「女のくせに」「気の強い女は好かれないよ」「円という名前のようにもっとまあるくなれば」。
「ジェンダーって何だ」「フェミニストなんておっかないねえ」「ゲイの秘書を雇ってるんだってね。彼女もレズビアンなんじゃないの」
それこそありとあらゆることを言われたが、いつも聞き流した。さまざまなことがあったが、大病もしないし、何より、セクハラと思える発言をする人も、その多くは応援してくれる善意の人であったし、私を守ってくれる人が大勢いた。私が気付かないうちにいやなことを処理しておいてくれる人がいたのだ。
だからこそ、ここまでやってこられたのかもしれない。政策でも、国会運営でも選挙でも、好きなようにやってきたが、それはすべて、見えないところで動いてくれていた人たち、「君のためにやったよ」なんてわざわざ言わない大人の人たちに、私は支えられてきた。
何と幸運だったことか。その幸運と、多くの人々の力を、私は今、これから政治の世界に挑戦してくれるかもしれない女性たち、そして、今、政治の世界で活動している女性たちを応援することにつぎ込みたいと思う。
せっかく政治の世界に飛び込んだのにセクハラ、パワハラに悩む人もいる。しかし応援してくれる人は必ずいるのだ。謙虚に勉強し、知識を身につけ、セクハラ、パワハラなどにめげず、この国の未来である子どもたちに、明るい社会を残すために共に闘いたいと思う。
「自分が日本の10歳の子どもなら、この国を捨てるだろう」と言ったのは、ジム・ロジャーズという世界屈指の投資家だが、子どもたちがこの国に見切りをつけたりしないような国づくりに、待ったなしで踏み出すことが、今を生きる私たち大人の責任だ。
「世代間扶養モデル」の破綻は明らか
2016年から出生数は100万人を切っている。今のままの出生率(1.42)なら、2053年に人口は1億人を割り込むと推定されている。人口減少だけではなく、高齢者が異常に多い、いびつな人口構成になる。
東京は、神奈川、千葉、埼玉などとともに、高度経済成長期、地方からの激しい流入人口の受け皿となって人口を増やした。特に金の卵として働きに来た中卒の若者や、大学に進学した学生たちが、20代でこの一都3県で結婚して居を構え、子どもを育ててきた。その団塊の世代があと4~5年もすると後期高齢者になる。
この一都3県では、2015年から2025年の間で後期高齢者がおよそ175万人も増えるとの推計が出ている。親の介護による離職、生活苦、心中、また老老介護の悲劇は跡を絶たないが、それでもまだ団塊の世代は支えてくれる現役世代がいる。しかし、団塊ジュニアが後期高齢者に突入する2050年頃、働き盛りの世代は激減する。働く世代が高齢層を支えるという「世代間扶養モデル」が破綻するのは火を見るより明らかだ。
社会保障の財源は今でも不足しており、働く女性のための保育所も保育士も不足。特別養護老人ホームも待機者が列をなしている。このままでは2050年を待つまでもなく、我が国は破綻(はたん)してしまうだろう。