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私、安田純平は「出国禁止」状態にあります(上)

渡航先は欧州とインドなのに「トルコ」を理由にパスポートが発給されないのはなぜ?

安田純平 フリージャーナリスト

「私もテレビを見ていて大変だったと思いますが…」

拡大筆者が2019年1月7日の旅券発給申請の際に提出を求められた渡航事情説明書の写し。結婚して姓を変えており家族を守るため自ら黒塗りしてある。拘束時に持っていた旅券の写しをメディアが報道した際も姓や本籍にぼかしが入り、ネットで「在日認定」される発端となった(筆者撮影)
 そこで1月7日、都庁(新宿区)の中のパスポートセンターに行ったところ、通常の「一般旅券発給申請書」に加え、「渡航事情説明書」への記入を求められた。

 氏名や本籍地、職業などの次に「渡航に関する事項」として、渡航目的に「観光」、渡航先に「イタリア、フランス、スペイン、ドイツ、インド、カナダ」、渡航予定期間におおまかに「平成31年1月25日~平成31年3月31日」、渡航の必要性に「家族旅行」と記載した。

 次に別の紙の「事由の詳細」という欄に、シリアでの拘束の経緯を簡単に記入するよう求められた。担当者は次のように理由を説明した。

 「あくまでも外務省の要請なのですが、私もテレビを見ていて大変だったと思いますし、まったく悪いことしていないのであれなんですけど、外務省の要請は、この『1番』に該当するかもしれない審査のために新宿でやってくれという要請なんです」

 旅券法13条に関連して新宿窓口にまわされる申請者には「重要なお知らせ」という紙が渡される。その中に13条1項各号の概要が書かれており、担当者が言う「1番」とは、その中の「①入国禁止」にあたる。

「外国で強制退去になった扱いということですか?」(私)
「その可能性があるということなんです」(担当者)
「トルコ側から何も言われていないんですが」(私)
「トルコ側に照会して少しでも該当する可能性があれば審査するということなんです。それで申し訳ないんですけど、こちらは1号の審査なので、1を『はい』にしてください」(担当者)

 すでに全て記入済みだった「一般旅券発給申請書」の一番下にある「刑罰等関係」という欄の、「はい」か「いいえ」かに印をつける項目のうちの「1」について、すでに「いいえ」に印を入れていたものを「はい」に書き直せという。

 この項目は「外国で入国拒否、退去命令又は処罰されたことがありますか」との質問で、「1号の審査」とは旅券法13条1項1号のことだ。

 以上の書類と、戸籍謄本や帰国ための渡航書を提出した。通常なら1週間ほどで発給され、「審査が長引いたとしても通常は1カ月半ほどで通知される」ということだった。

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筆者

安田純平

安田純平(やすだ・じゅんぺい) フリージャーナリスト

1974年、埼玉県出身。一橋大学社会学部卒業後、信濃毎日新聞に入社。行政や医療、登山や自然環境について記事を書く。在職中にアフガニスタンやイラクを取材。2003 年に退社しフリージャーナリストに。イラク、シリア、アフガニスタン、東南アジアなどの取材を行う。04年、イラクを取材中、現地人の自警団にスパイ容疑で拘束されるが何も要求がないまま3日後に解放。07-08年、民間人が戦争を支えている実態を取材するため、イラク軍関連施設などで料理人として働きながら取材し、「ルポ 戦場出稼ぎ労働者」(集英社新書)を著す。12 年、シリア内戦を取材し報道番組で発表。15 年6月にシリアで武装勢力に拘束され、18年10月、40カ月ぶりに解放された。近著に「シリア拘束 安田純平の40か月」(ハーバー・ビジネス・オンライン編/扶桑社)。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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