階猛(しな・たけし) 衆議院議員
衆議院議員(岩手1区)、盛岡一高野球部、東大野球部で投手。勤務先の長銀が経営破たん後、企業内弁護士として活動。2007年補選で初当選、以降小選挙区で5期連続当選。総務大臣政務官、民進党政調会長、国民民主党憲法調査会長などを歴任。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
「100年安心」から「100歳安心」へ。老後の貧困を防ぐ新年金制度を提案!
前回記事『年金不安を根本から解消するために』で報告した通り、筆者と井坂信彦氏、井出庸生氏の野党政治家3人は、年金不安を根本から解消するために「年金抜本改革チーム」を立ち上げた。
安倍政権は「100年安心年金」というフレーズでごまかそうとするが、これは「老後の生活が100年安心」という意味ではない。「年金額をどんどん減らせば、制度そのものはギリギリ100年もつ」という意味に過ぎない。
年金制度の持続可能性が優先され、国民一人ひとりの老後の生活が軽視されるのでは本末転倒である。人生100年時代を安心して暮らせる「100歳安心」の年金制度を考えていくべきだ。
私たちはそうした観点から、国際医療福祉大学の稲垣誠一教授、法政大学の小黒一正教授、日本総研の西沢和彦主席研究員のお三方からご意見を伺った。
稲垣教授からは、主に年金の「最低保障機能」についてお話を伺った。教授独自の「マイクロシミュレーション」で推計した具体的かつ現実的な将来の貧困率を前提に、家族構成や年齢層も考慮しつつ、どのような給付を行うべきかなどにつき、意見交換した。
小黒教授からは、主に年金の「世代間公平」についてお話を伺った。現役世代が支払う年金保険料を賦課方式(引退世代への仕送り)から積立方式(自らの老後に備えた貯蓄)に移行する場合、750兆円と推計される引退世代への年金給付に必要な財源をどのように工面するかなどにつき、意見交換した。
西沢研究員からは、主に年金の「財源」についてお話を伺った。年金給付に必要な財源の圧縮方法や調達方法に関し、どのようにすれば国民にとって公正で「痛み」の少ない仕組みとなるかなどにつき、意見交換した。
3人の専門家から現在の公的年金制度の問題点として共通して指摘されたのが、公的年金の1階部分をなす基礎年金の不十分性とマクロ経済スライドによる年金の先細りであった。
このままでは「100歳安心」どころか「老後の貧困」が拡大してしまう。
私たちは、強い問題意識を持つに至り、「老後の貧困」をいかに防ぐかという観点を最優先にして年金制度の改革を考えていくことにした。