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今も生きる新党さきがけの五つの理念

争点なき参院選だからこそ、あらためて吟味してみたい各党の政治理念

田中秀征 元経企庁長官 福山大学客員教授

拡大参院選前に開かれた党首討論会。各党はどんな理念を掲げているのか=2019年7月3日、東京都千代田区

夏が来ると思い出す「大政変」のこと

 参院選たけなわである。

 毎年、この季節になると、私は1993年の「大政変」を思い出す。ことに国政選挙が施行されるとなると、思い出はいっそう生々しくなる。

 この年の6月18日、野党が提出した宮沢喜一内閣への不信任案は、小沢一郎氏ら自民党の一部が同調して可決され、衆議院は解散された。

 解散の直後、私は武村正義氏ら総勢10人で自民党を離党し、「新党・さきがけ」を結成した。前もって離党日を「宮沢内閣が終わる日」と決めていたのである。

拡大自民党を離党した当選1、2回の前代議士10人で結成された新党さきがけ=1993年6月21日
 この時の衆院選は戦後の日本政治史の中でも、驚嘆すべき結果をもたらした。すなわち、昭和30(1955)年に保守合同で結成されてから38年間、政権を担当し続けた自由民主党が、初めて野党に転落したのである。このことは、「55年体制の崩壊」として歴史に刻まれている。

 その突発的な衆院選が始まると、1年前に細川護熙氏が旗揚げした日本新党、われわれ同様、解散後に自民党を離党した小沢一郎氏らが立ち上げた新生党、そして新党さきがけの3新党が、いわゆる「新党ブーム」を巻き起こした。そして迎えた7月18日の投開票日。自民党は過半数を割り、下野に追い込まれた。そして、この大きな政治転換によって、非自民勢力連立の細川護熙政権が誕生したのである。

 振り返れば、あの時の衆院選の期間は、日本中の空がまるで異様なうなりを立てているような風情であった。歴史が大きく変わるときは、大地さえ揺るがす勢いに満ちるものだと実感したのを、今も鮮明に覚えている。それは有権者も同じで、今もなお「あの時の熱気は忘れない」と声をかけられる。

 ところで、さきがけの結成に際し、われわれは五つの政治理念を掲げた。あらためて読み返してみると、今に通じる内容が含まれているように思う。今回はこの政治理念を振り返りつつ、今の政治状況について考えてみたい。

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筆者

田中秀征

田中秀征(たなか・しゅうせい) 元経企庁長官 福山大学客員教授

1940年生まれ。東京大学文学部、北海道大学法学部卒。83年衆院選で自民党から当選。93年6月、自民党を離党し新党さきがけを結成、代表代行に。細川護熙政権で首相特別補佐、橋本龍太郎内閣で経企庁長官などを歴任。著書に『平成史への証言 政治はなぜ劣化したのか』(朝日選書)https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=20286、『自民党本流と保守本流――保守二党ふたたび』(講談社)、『保守再生の好機』(ロッキング・オン)ほか多数。

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