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「2千万円不足問題」は「フェイクな争点」である

「福祉国家」の根本に関わる問題。政党はこれを一度の選挙の争点ですませるな

吉田徹 北海道大学教授

拡大Princess_Anmitsu/shutterstock.com

参院選の争点は?

 7月21日の参院選が近づく。この選挙での争点は何だろうか。

 有権者の側は明確だ。6月末の世論調査(日本経済新聞社・テレビ東京)では、重視する政策として「年金・福祉などの社会保障政策」が54%にのぼり、首相の掲げる「憲法改正」は13%に過ぎない。外交や安全保障よりも、社会保障や雇用といった生活にまつわる争点が重視されるのは、今回も例外ではない。

 突如浮上した「老後資金2000万円」問題は、こうした態度に影響を与えたのは間違いないだろう。年金は、老若男女を問わず、国民の懐に直接に関係する問題であり、「2000万円」という数字は、憲法問題などと比べてリアリティを持ちものだけに、関心が高くなるのは当然だ。ここから各党とも、年金問題に関する公約を盛り込だ。

 しかし、年金は「金額」以上の意味を持つ争点でもある。もっと言えば、三重の意味で「フェイクな争点」である。すなわち、①問題の根源は「2000万円」という金額にあるのではなく、②各党が掲げる公約は非現実的なものであり、③年金はそもそも選挙で問うべきはないはずのものだ。

 本稿では、「2000万円問題」がなぜ、「フェイクな争点」なのか、各党の公約にも言及しつつ、ミクロ(問題の在り処)、メゾ(政策の争点)、マクロ(年金制度のあり方)の3層にまたがって論じてみたい。

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