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亥年選挙の年に大阪で思う(前編)

友人が大阪市議選に立候補し、私は生まれて初めて選挙運動にかかわった

岩城あすか 情報誌「イマージュ」編集委員

マジョリティ側が持つ「無意識の特権」

 政治の世界をはじめ、日本はまだまだ男社会。票ハラされる状況が起きづらいよう、周りにいる人は常に気をつけなければいけないが、もし遭遇してしまったら、すぐに毅然とした対応をとる必要がある(が、これが実際は難しい)。

 一般的に、仕事も家庭もある健常者の男性は、(マイノリティである)女性のしんどさをまったく意識せずに一生を生きられるという、「無意識の特権」をすでに持っている。被抑圧の立場におかれた人や、もともとセンスがあって想像力のある人は別だが、当事者からみるとキラキラとまぶしくうつるこの「特権」は、「力を持っている」側には驚くほど意識されない。

 だから、しんどいシーンに当事者が遭遇していても、気づかずスルーしてしまうか、もし気づいたとしても「世の中そんなもんだ」「男性候補者も大変な思いをしている」などと上から目線の物言いをして、さらに当事者を孤立させたりする。

 常に「すぐ目の前に、自分より圧倒的に立ち位置の低い相手がいるかもしれない」という想像力をはたらかせていなければ、すでに相手の足を踏んづけながらも、それに気付いていないということになる。(ちなみにマイノリティであるはずの女性でも、この種の錯覚に陥る人もいたりするので、差別の構造は複雑だ)

 上の文章の「男性/女性」という言葉は、「日本人/外国人」「健常者/障碍者」「異性愛者/性的少数者」など、色々な社会的少数者と置き換え可能だ。

 友人の選挙の応援には、いろいろなマイノリティの当事者がかかわった。たくさんの在日コリアンの友人たちも全力で応援したが、だれよりも地域のことを思って活動しているのに、投票権がないという現実はとてつもなく重い。一緒に活動しながら、改めてその悔しさ、苦しさが痛いほど伝わってきた。(ちなみに何世代にもわたって居住しているのに、国籍や参政権が与えられない国は、OECD諸国の中で日本だけ。曲がりなりにも「外国人受け入れ」に舵をとったのであれば、この排外主義丸出しの状況を一刻もはやく改善する必要がある)

 マジョリティとマイノリティの関係性は、状況によって交差したり変化したりするので難しいが、この「無意識の特権」や「圧倒的な立ち位置の差」を意識しつつ、マイノリティ側の視点を尊重しながら行動するとき、とても強い求心力が生まれるということもよくわかった。

拡大友人が街角で「家事と育児を女性だけにさせるのはやめよう」と演説していたら、選挙期間中、サポーターの男性たちはイメージカラーの黄色いエプロンをつけて活動に参加することに。行く先々で注目を集めていたし、まちの人たち(特に女性)の反応は抜群だった。

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筆者

岩城あすか

岩城あすか(いわき・あすか) 情報誌「イマージュ」編集委員

大阪外国語大学でトルコ語を学んだ後、トルコ共和国イスタンブール大学(院)に留学(1997年~2001年)。通訳やマスコミのコーディネーターをしながら、1999年におきた「トルコ北西部地震」の復興支援事業にもボランティアとして関わる。現在は(公財)箕面市国際交流協会で地域の国際化を促す様々な事業に取り組むほか、重度の障碍者のみで構成される劇団「態変」の発行する情報誌「イマージュ」(年3回発行)の編集にも携わっている。箕面市立多文化交流センター館長。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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