亥年選挙の年に大阪で思う(後編)
大阪市議選にかかわって気づいた「大阪の教育」の危うさ
岩城あすか 情報誌「イマージュ」編集委員
2019年は12年に一度の「亥年選挙」の年。
これまで自分は政治の世界は関係ないと思っていたが、「政治をもっと生活の近くに」と、友人が大阪市議会議員選挙に臨んだことから、手作りの選挙運動にかかわった。(『亥年選挙の年に大阪で思う(前編)』参照)
残念ながら当選はかなわなかったが、選挙戦本番までに「まちおこし」「子育て」「女性の生きづらさを支える法的環境」など、政治を身近に考えるさまざまな勉強会をもったことで、大阪でおきている現象の「まやかし」が見えてきた。
大阪の教育を通して「強い政治」の中身が見えてくる
とりわけ考えさせられたのが、「大阪の教育」について。私自身、中学生の子を持ちながらよく知らなかったのだが、大阪府内の中学生を対象に実施されている「チャレンジテスト(=大阪府中学生統一テスト)」の仕組みには心底驚いた。
3年前の2016年から実施されているこの統一テストは、結果を内申点に直結させるもので、自治体独自のテストを高校入試に結びつける手法は、全国でも他に例がないという。

大阪教育文化センターのウェブサイトhttps://osaka-kyoubun.org/archives/1530から。以前は中3の成績(9教科)だけが、10段階の「相対評価」として内申点に反映されていたが、2016年度より入試制度は大きく変わった。
5教科 (中1は3教科) のみの学力テストの成績が、4教科(音楽、体育、技術家庭科、美術)も含めた内申に影響を与えるという不条理さを感じるが、最もおどろいたのが、中3のテストは「団体戦」だということ。
1、2年生で受けたテストは「個人戦」(=自分の取った点がそのまま内申に結び付く)であるのに、3年生のテストの結果は、生徒たちの成績結果によって中学校ごとに「評定平均値(以下、評定値)」が決められ、それに基づいて生徒の内申点が割り振られるという。
下図左の学校のように、評定値が高い中学校では、一定以上の点数を取れば、5段階の「5」をつけられる生徒が多くなるが、評定値が低い右の学校の生徒は、ほかの生徒の平均値が大幅に下がってしまうため、たとえ99点だったとしても、「5」をつけづらくなり、結果として入試に不利になるおそれがある。(いっぽうで、評定値の高い中学校に通う得点の低かった生徒は、低い学校と比べて高い点をつけてもらえる可能性もある)

大阪教育文化センターのウェブサイトhttps://osaka-kyoubun.org/archives/1530から一部修正