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亥年選挙の年に大阪で思う(後編)

大阪市議選にかかわって気づいた「大阪の教育」の危うさ

岩城あすか 箕面市立多文化交流センター 館長

「相対評価」は競争原理を激化する

 ちなみにこのテストは、2016年度から大阪の入試制度における内申点のつけ方が、「10段階の相対評価」から「5段階の絶対評価」へと切り替わったのと同時に始まったという。

 「相対評価」は一つの集団内での比較となるため、結果のバラつきも出にくく、評価される側にとっても、評価者によって大きな偏りが生じづらくなるというメリットがある。集団内での競争原理もよりはたらくそうだ。ただし、個人が自分なりの目標を達成しても、それと同等か僅かに超える結果を出した生徒がいれば、相対的に評価が下がるというデメリットもある。つまり、評価はしやすいが、合理性を欠いた評価になってしまう可能性がある。

 概して、学力テストの結果が良いかどうかは、子どもを塾に行かせることのできる「親の経済力」の差によるところが大きい。経済的に厳しい世帯の多い地域の中学校の評定値は、そうでない地域よりも低くなる傾向にあり、統一テストで同じ点をとっていても、所属する中学校の評定値によって内申点が変わってしまうおそれがあるのは問題だ。

 また昨年、「学力テスト」の結果を公表したいとの意向が大阪市の吉村市長から示されたが、これは学校間格差を浮き彫りにし、百害あって一利なしの「メリットペイ(結果を教職員の給料に反映させること)」に悪用されるおそれがある。(鈴木大裕さんの論考『日本の公教育の崩壊が、大阪から始まる』『私は娘に全国学力調査を受けさせない』をご覧いただきたい)

民間委託の闇

 さらにこのチャレンジテスト、「国語」は記述式の問題がとても多いのに、テストの得点結果は非常に高いそうだ。勉強会では、「記述式問題の多いテストは通常、平均点が下がるのに、チャレンジテストではなぜか平均得点が高くなって不思議。ちゃんと内容を読み込んで採点されているのだろうか」と疑念を口にする先生もいた。

 私は国語で「記述式」が多いということに危惧をおぼえた。外国ルーツの子どもたちや、文字を書いたりまとめたりするのが苦手な発達障害を抱える子どもたちは、「〇〇字以上〇〇字以内で記述せよ」という設問が一番困るからだ。もし空欄がそれなりに埋まっているだけで点がもらえるとしたら、書けないハンディはより大きくなってしまう。

 テスト結果については、項目ごとの点数が記載されたレーダーチャート型の評価シートが返却されるだけで、どの設問をどう間違えたかのフィードバックは一切なく、まったく答え合わせはできないという。(ちなみに今年の3月、ある生徒が2018年9月に実施された中3テストの結果を府庁に開示請求したところ、「11月に委託業者が契約に基づき現物を溶解処分したので、原本は存在しない」と説明され、後日「不存在による非開示決定」通知を得たという)

拡大大阪府のホームページより、昨年の中3テストの結果概要http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/24765/00307563/3_0_kekkagaiyou.pdf

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筆者

岩城あすか

岩城あすか(いわき・あすか) 箕面市立多文化交流センター 館長

大阪外国語大学でトルコ語を学んだ後、トルコ共和国イスタンブール大学(院)で学ぶため、1997年~2001年イスタンブールで過ごす。通訳やマスコミのコーディネーターをしながら、1999年におきた「トルコ北西部地震」の復興支援事業にもボランティアとして関わる。現在は(公財)箕面市国際交流協会で地域の国際化を促す様々な事業に取り組むほか、重度の障碍者のみで構成される劇団「態変」の発行する情報誌「イマージュ」の編集にも携わっている。

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