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プライバシー重視で国民の支持得られるのか?

ハリー王子とメーガン妃を例に、王室と国民・メディアの距離を考える

小林恭子 在英ジャーナリスト

イギリス王室拡大2016年、ニューヨークのスタジオで、テレビ番組「Suits」での役割について話している女優のメーガンさん=AP

 イギリスのエリザベス女王の孫にあたるヘンリー王子(通称、ハリー)は昨年、アメリカの女優メーガン・マークルさんと結婚し、一躍注目度を高めた。きらびやかな結婚式には米スター、ジョージ・クルーニー夫妻やテニスのセリーナ・ウィリアムズ選手らが出席し、ハリー王子は「世界のセレブリティー(著名人)」の一人となった。

 イギリス国民としては鼻高々のはずだが、国民に開かれていることを基本とする王室の伝統にあらがい、「プライバシー」の名の下に出すべき情報を出さないハリー夫妻(サセックス公夫妻)に眉をひそめる声も出てきた。

 日曜紙「サンデー・タイムズ」のコラムニスト、カミーラ・ロング氏は王室ファンに十分な情報を出さない王子を「しらけさせる殿下(HRH Killjoy)」と名付けた(7月7日付)。

 一体、何が起きているのか。

パパラッチに追われて亡くなったダイアナ妃

 ハリー王子の母親は故・ダイアナ妃(1961−1997年)だ。

イギリス王室拡大1981年7月29日、ロンドンのバッキンガム宮殿のバルコニーで花嫁、ダイアナ妃にキスをするチャールズ皇太子=AP

 彼女は、チャールズ皇太子との婚約が発表された時点からメディアに追いかけられた。結婚中は、夫に愛人(カミーラ夫人)がいることをBBCの番組や書籍で明らかにし、自らを熾烈なメディア報道の渦中に置いた。離婚後、パリ滞在中に恋人と乗った車を報道陣に追跡された揚げ句、交通事故で命を落としてしまった。享年36歳。

 母が亡くなった時、ハリー王子は12歳。兄のウィリアム王子は15歳だった。ふたりがメディア嫌いになったとしても、不思議はない。

イギリス王室拡大1997年、母親ダイアナ妃の棺の後ろで頭を下げて歩くウィリアム王子=AP

 ハリー王子は、亡くなった母のこともあってメディアに好感を持たず、かつ王室の人間であること自体を負担に感じると、何度か口にしてきた。

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筆者

小林恭子

小林恭子(こばやし・ぎんこ) 在英ジャーナリスト

秋田県生まれ。1981年、成城大学文芸学部芸術学科卒業(映画専攻)。外資系金融機関勤務後、「デイリー・ヨミウリ」(現「ジャパン・ニューズ」)記者・編集者を経て、2002年に渡英。英国や欧州のメディア事情や政治、経済、社会現象を複数の媒体に寄稿。「新聞研究」(日本新聞協会)、「Galac」(放送批評懇談会)、「メディア展望』(新聞通信調査会)などにメディア評を連載。著書に『英国メディア史』(中央公論新社)、『日本人が知らないウィキリークス(新書)』(共著、洋泉社)、『フィナンシャル・タイムズの実力』(洋泉社)。

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