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プライバシー重視で国民の支持得られるのか?

ハリー王子とメーガン妃を例に、王室と国民・メディアの距離を考える

小林恭子 在英ジャーナリスト

ウィリアム流のプライバシー尊重

 メディア嫌い、あるいはメディアと一定の距離を保って付き合いたいという思いは、ウィリアム王子も共有する。

イギリス王室拡大生まれたばかりの王女を連れて退院するキャサリン妃と、出産に付き添ったウィリアム王子=2015年5月2日、ロンドン、渡辺志帆撮影
 ウィリアム王子は妻キャサリン妃との結婚前、メディア報道の自粛を呼びかけた。ウェストミンスター寺院での盛大な結婚式(2011年)の後の新婚旅行では、「どうか、私たちをそっとしておいてほしい」と訴えた。当時、どこに新婚旅行に行ったのかはメディアに通知されなかった。

 2013年、ウィリアム夫妻(ケンブリッジ公夫妻)に初の子どもジョージ王子が生まれたと、出産をした病院の玄関前で赤ちゃんを抱いて報道陣のカメラのフラッシュを浴びる場を持った。王位継承権第2位というポジションにいることもあって、「義務は果たす」のがウィリアム流だ。

 しかし、その後、ジョージ王子やその後に生まれた2人の子ども(2015年シャーロット王女、2017年ルイ王子)の誕生記念の写真が王室から公開されると、多くのイギリス国民が驚いた。撮影したのは王室お抱えのカメラマンではなく、母親のキャサリン妃だったからだ。子どもがプライベートで見せる自然な笑顔を母親のカメラがとらえていた。

ハリー王子はプライバシーを超重要視

 ケンブリッジ公夫妻のプライバシー重要視にさらに輪をかけたのが、サセックス公夫妻だ。

イギリス王室拡大沿道の歓声に応えるハリー王子とメーガンさん=2018年5月19日、ウィンザー、下司佳代子撮影
 ハリー王子のために一つ弁明しておくと、メーガン妃と交際を開始したころ、彼女はすでにアメリカのドラマ「スーツ」で知られた有名女優だった。そのため、メディア報道が過熱化した。中には許容できないレベルのハラスメントの嵐が言論空間に発生した。これがプライバシーをかたくなに守ろうとする姿勢の背後にあった。

 「許容できないレベル」というのは、メーガン妃の母親がアフリカ系アメリカ人で、このために人種差別的なコメントが多数出たのである。

 2016年11月、ハリー王子はメディア向けに声明文を出し、「立ち止まって、考えてみる」ことを求めた。

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筆者

小林恭子

小林恭子(こばやし・ぎんこ) 在英ジャーナリスト

秋田県生まれ。1981年、成城大学文芸学部芸術学科卒業(映画専攻)。外資系金融機関勤務後、「デイリー・ヨミウリ」(現「ジャパン・ニューズ」)記者・編集者を経て、2002年に渡英。英国や欧州のメディア事情や政治、経済、社会現象を複数の媒体に寄稿。「新聞研究」(日本新聞協会)、「Galac」(放送批評懇談会)、「メディア展望』(新聞通信調査会)などにメディア評を連載。著書に『英国メディア史』(中央公論新社)、『日本人が知らないウィキリークス(新書)』(共著、洋泉社)、『フィナンシャル・タイムズの実力』(洋泉社)。

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