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ローマ法王は被爆地の広島・長崎で何を語るのか

核軍縮に逆行する動きが目立つ世界で、核廃絶の機運を再び高められるのか

高橋 浩祐 国際ジャーナリスト

拡大演説するフランシスコ法王=2017年11月28日

ローマ法王の来日に広島・長崎は……

 全世界で13億1300万人の信徒を擁するローマ・カトリック教会のフランシスコ法王(82)が11月下旬、原爆被爆地である長崎市と広島市を訪問する。報道によれば、天皇陛下との会見や安倍首相との会談も予定されている。キリスト教最大の教派、ローマ・カトリックのトップに立つ法王は、被爆地でいったいどんなメッセージを発するのだろうか。

 現在の国際社会を見渡せば、米国とロシアの核軍拡競争、北朝鮮やイランの核開発、さらには核拡散防止条約(NPT)体制の形骸化など核軍縮に逆行する動きが目立っている。そんななか、法王はどれだけ強い核兵器廃絶へのメッセージを世界に発信できるか。核廃絶の機運をどこまで高められるのか。

 筆者は7月17、18両日、公益財団法人フォーリン・プレスセンターが運営を担当する外国メディア対象のプレスツアーに参加し、広島と長崎を取材した。本稿では、広島、長崎の両市長をはじめ、日本カトリック司教協議会会長の高見三明・長崎大司教ら地元の期待や思いを紹介したい。

38年ぶり2度目の訪日

 ローマ法王の訪日は1981年2月に法王として初めて訪日した故ヨハネパウロ2世以来、38年ぶりの2度目となる。

 ヨハネパウロ2世は世界平和と核兵器廃絶を訴え続け、「平和の使者」としての国際的な名声を得た。1981年の訪日時には広島の平和記念公園、長崎の浦上天主堂や大浦天主堂などを訪問した。

拡大ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王の指示で配布されたカードの写真「焼き場に立つ少年」 。米国の従軍カメラマンだった故ジョー・オダネル氏が1945年に撮影した=ローマ法王庁提供
 フランシスコ法王もヨハネパウロ2世同様、平和や核廃絶への強い思いを抱いている。いまだ記憶に新しいのが、フランシスコ法王が2017年末、原爆投下後の長崎で米国の従軍カメラマンが撮影した「焼き場に立つ少年」の写真をカードに印刷して配布し、大きな国際ニュースになったことだ。

 この写真は、死亡した幼子の弟を背負いながら火葬場で順番を待つ1人の少年の姿をとらえたもの。少年は悲しみをこらえて、気丈に直立不動の姿勢を見せている。法王は、カードの裏側には「戦争がもたらしたもの」とのメッセージを添えていた。

 6月26日付の長崎新聞の記事によると、フランシスコ法王は11月24日に広島と長崎を訪れ、翌25日に東京で天皇陛下や安倍晋三首相と会見する予定。法王は長崎市入り後、カトリックの大聖堂の浦上天主堂を訪ね、県営ビッグNスタジアムでミサを開催することが検討されているという。

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筆者

高橋 浩祐

高橋 浩祐(たかはし・こうすけ) 国際ジャーナリスト

英国の軍事専門誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」東京特派員。1993年3月慶応大学経済学部卒、2003年12月米国コロンビア大学大学院でジャーナリズム、国際関係公共政策の修士号取得。ハフィントンポスト日本版編集長や日経CNBCコメンテーターを歴任。朝日新聞社、ブルームバーグ・ニューズ、 ウォール・ストリート・ジャーナル日本版、ロイター通信で記者や編集者を務める。

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