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「モリカケ」を凌いで令和を迎えた安倍政権の本質

平成政治の興亡 私が見た権力者たち(20・最終回)

星浩 政治ジャーナリスト

加計学園問題も政権を直撃

拡大加計学園の新学部開設は「総理の意向」とする文書を巡り取材に答える前川喜平・前文部科学事務次官=2017年5月23日、東京都内
 同じ頃、森友問題とは別の問題も安倍政権を直撃した。加計学園をめぐる疑惑である。

 この問題は、安倍首相の盟友である加計孝太郎氏が理事長を務める学校法人加計学園が、愛媛県今治市に獣医学部を新設することを計画したことが発端だ。2017年5月17日、朝日新聞は加計学園の新学部開設は「(安倍)総理の意向だ」とする文書などが文部科学省内で回覧されていたことを報じた。前日夜のNHKも同趣旨の報道をしていた。

 17日午前、菅義偉官房長官は定例の記者 会見で、この加計学園に関する文書について「怪文書みたいな文書」と切り捨てた。しかし、実際は「怪文書」ではなかった。17年1月まで文部科学事務次官を務めていた前川喜平氏が、メディアのインタビューに答えて、この文書が実在していたと証言。6月15日に松野博一文科相は一連の文書が存在していたことを認めた。

首相が襟を正さず、まかり通る「忖度」

拡大獣医学部の入学宣誓式で告辞を述べる加計孝太郎理事長=2019年4月3日、愛媛県今治市いこいの丘
 加計学園問題はなぜ起きたのか。

 獣医学部の新設をめぐり、従来の規制を盾にとって反対してきた文科省に対し、経済産業省を中心とした規制緩和を狙う勢力は、安倍首相の「意向」を錦の御旗にして風穴を開けようとしていた。そこに、安倍首相の30年来の盟友で、首相就任後もゴルフや会食を続けてきた加計氏の学校法人が、獣医学部の新設を申請していたことが重なり合う。経産省から首相秘書官に出向していた柳瀬唯夫氏(後に経済産業審議官)が、加計学園側との連絡役になっていたのはそのためだ。

 一連の経緯から「忖度政治」という世論の批判が高まったのにもかかわらず、最終的に加計学園の獣医学部は認可され、2018年4月に開設された。

 安倍首相は国会での追及などに「李下に冠を正さず」と述べていた。それが本気であるならば、この獣医学部開設は見合わせるのが当然だろう。首相が襟を正さないまま、周辺の「忖度」がまかり通った。それが、加計学園問題の真相である。

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筆者

星浩

星浩(ほし・ひろし) 政治ジャーナリスト

1955年福島県生まれ。79年、東京大学卒、朝日新聞入社。85年から政治部。首相官邸、外務省、自民党などを担当。ワシントン特派員、政治部デスク、オピニオン編集長などを経て特別編集委員。 2004-06年、東京大学大学院特任教授。16年に朝日新聞を退社、TBS系「NEWS23」キャスターを務める。主な著書に『自民党と戦後』『テレビ政治』『官房長官 側近の政治学』など。

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