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いかがわしい議長交代発言。さあ憲法をどうする 

自民党幹部の改憲シフト発言が波紋。小賢しい策は必要な改憲もできなくする?

田中秀征 元経企庁長官 福山大学客員教授

拡大「公開憲法フォーラム」の会場で、安倍晋三首相のビデオメッセージが公開された=2019年5月3日、東京都千代田区平河町

「自衛隊を憲法上、認知しておくべきだった」

 「米軍の占領が終わる前後に、自衛隊を憲法上、認知することにしておくべきだった」

 これは、宮沢喜一元首相が生前、私に話してくれたことだ。しかも、幾度となく同じことを言ったから、よほどのこだわりがあったと私は受け止めている。

 かねてから私も同じことを感じていたから、宮沢さんとは大筋で一緒の「憲法観」を持っていたと言ってもいい。

護憲派より憲法尊重派がピッタリな宮沢元首相

 宮沢さんは巷間、いわゆる“護憲派”の代表選手のように言われてきた。ただ、私は本人が自ら護憲派と称するのを聞いたことがない。憲法尊重派というのがもっともピッタリしているだろう。衆議院手帳の最後に綴(と)じられている憲法全文をはぎ取って常時、上着の内ポケットに入れていた宮沢さん。そんな政治家がはたして他にいただろうか。

 憲法について彼がもっとも強く反応したのは、「海外での武力行使」であった。9条のしばりのなかで、日本は海外でのいかなる武力行使もするべきではないという主張は揺るぎなかった。実はこの点で、自民党の歴代政権を支えた後藤田正晴・元官房長官、1993年に政権交代をはたした細川護熙・元首相、そして宮沢さんはまったく同意見であり、私はこの3人を“鉄の三角形”と呼んできた。

 後藤田さんと宮沢さんは、戦争に対する世代的な共通認識があるので理解できるが、二人よりずっと若い細川さんがなぜ、同じ意見なのか。先の戦争に深く関与した祖父(近衛文麿元首相)への複雑な思いが背景にあるのだろう。

 私自身は(小沢一郎さんがそうであるように)、国際連合が集団安全保障の体制を整えたら、日本の自衛隊もそれに参加するべきだと考えてきたが、“鉄の三角形”はそれも含めて、海外での武力行使はどんなものでも反対。仮に日本の武力行使が正しいものであったとしても、国際社会の大半はいまだにそれを歓迎するまでには至っていないというのだ。日本が過去に犯した過ちは、それほど大きかったと考えているのである。

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筆者

田中秀征

田中秀征(たなか・しゅうせい) 元経企庁長官 福山大学客員教授

1940年生まれ。東京大学文学部、北海道大学法学部卒。83年衆院選で自民党から当選。93年6月、自民党を離党し新党さきがけを結成、代表代行に。細川護熙政権で首相特別補佐、橋本龍太郎内閣で経企庁長官などを歴任。著書に『平成史への証言 政治はなぜ劣化したのか』(朝日選書)https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=20286、『自民党本流と保守本流――保守二党ふたたび』(講談社)、『保守再生の好機』(ロッキング・オン)ほか多数。

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