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焼けた京都アニメーション第1スタジオに向かって手を合わせる人たち=2019年7月19日午後8時31分、京都市伏見区20190719拡大焼けた京都アニメーション第1スタジオに向かって手を合わせる人たち=2019年7月19日

焼け焦げたビルを長時間見過ぎて…

7月19日(金) 朝から取材続行。午前9時半から警察と消防が合同で現場検証に入っている。夜にみた感じと風景が全く違う。京都アニメのビル内の3階から屋上に至る階段に19人が折り重なるようにして亡くなっていたという。放火した男の情報が入ってくる。さいたま市に住む41歳の男。ハンマーや複数の包丁、ガソリンの携行缶がみつかっている。

 インターネットで寄せられてきた情報で、『響け!ユーフォニアム』という京都アニメ作品の女性キャラクターに彼氏ができた(アニメ・ストーリー上で)展開に、激しい反発・執着をもった「書き込み」がネット上にあったとのこと。現実世界とアニメ世界の境目がなくなって、もしかして犯行に及んだとすれば、狂気以外の何ものでもない。けれどもあり得るな、今のこの社会では。

 容疑者の名前が京都府警から発表されたようだ。逮捕以前に発表されるというのは極めて異例のことだ。100人を超すメディア・ピープル。放火犯の男を被害者だと思って介抱した女性に、静かな場所で再度話を聞いた。当日は午前10時35分ごろに家のチャイムが鳴って表に出てみたら、玄関わきの道路に男が倒れていた。ひどい火傷を負っていたので、ホースで水をかけてあげた。その男に5分以上にわたって、3、4人の警察官が取り囲んで尋問していた。男は憤った様子で仰向けに横たわりながら怒鳴っていたという。「パクりやがって」とか言っていたという。警察官は「チャッカマンはどこや?」と聞いていた。最小限度のことは警察はその段階で把握していたということだ。

 13時50分、京都府警本部長が現場に到着。現場視察と献花。府警の広報が規制線を現場ビル近くまで一時的に解除して報道陣に撮らせるという。すぐ近くの喫茶店に入ると、そこの女性経営者がかなりの衝撃を受けていた。常連のお客さんに京都アニメの従業員たちがいたという。涙ぐんでいた。その後、被疑者の行動を辿って、寝転んでいたのが目撃された公園や、ガソリンを購入したとみられるスタンド、ホームセンターなどを回る。

 午後7時45分、近所に住むご夫妻にじっくりと話を聞くことができた。奥さんは、 ・・・ログインして読む
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筆者

金平茂紀

金平茂紀(かねひら・しげのり) TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

TBS報道局記者・キャスター・ディレクター。1953年、北海道生まれ。東京大学文学部卒。1977年、TBSに入社、報道局社会部記者を経て、モスクワ支局長、「筑紫哲也NEWS23」担当デスク、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長、コロンビア大学客員研究員などを経て、2010年より「報道特集」キャスター。2004年、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『沖縄ワジワジー通信』(七つ森書館)、『ロシアより愛を込めて――モスクワ特派員滞在日誌 1991-1994』(筑摩書房)、『二十三時的――NEWS23 diary 2000-2002』(スイッチ・パブリッシング)など。共著に『テレビはなぜおかしくなったのか<原発・慰安婦・生活保護・尖閣問題〉報道をめぐって>』(高文研)、『内心、「日本は戦争をしたらいい」と思っているあなたへ』(角川書店)など多数。

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