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韓国は「敵」なのか

日韓亀裂の正体は「初の報復」対「挙国防衛」/修復不能を危惧する緊急声明

市川速水 朝日新聞編集委員

拡大2019年6月末のG20サミット会場で安倍晋三首相(中央右)と文在寅・韓国大統領は握手を交わしただけで接点がほとんどなかった=大阪市

韓国を敵視する日本外交

 安倍政権は2019年8月2日、韓国を輸出手続きの優遇国(ホワイト国)から外す政令改正を閣議決定した。

 慰安婦、徴用工問題を発端に対立が悪化の一途をたどる日韓関係。友好都市同士の交流会やスポーツ対抗戦が延期・中止され、韓国内での日本製品ボイコットといった市民生活まで影響は及んでいる。

 この事態は、「戦後最悪」というよりも、次元の違う新しい2国間関係に入ったとみるべきだろう。

 それは、日本が過去に手をつけることがなかった「報復」という手荒な手段を選び、韓国は国家総動員でハリネズミのように全身を逆立てて「防衛」に出るという構図だ。

 背景にあるのは、韓国を「敵視」する日本の外交態度だ。

 このまま「報復」と「防衛」の応酬が続けば、盾と矛のように、どちらか、あるいは双方が傷つき、回復には相当時間がかかることは間違いない。

 また日韓摩擦…という「摩擦」のイメージでは今回の対立は語れない。

 歴史認識をめぐって、かつて教科書の記述、靖国神社への首相参拝、竹島領土問題をめぐる発言、植民地支配の是非をめぐる政治家の発言、慰安婦への補償に関する措置の是非、と様々な軋轢があった。

 しかし、これらは「認識」の問題であり、海を越えて双方に伝わる言葉は「妄言かどうか」という見方の問題であり、参拝問題などは「内政干渉」という反論も可能だった。だから、ある程度の時が過ぎれば冷静さを取り戻すことができた。

 今回の日本の措置は、戦後の日韓史上例がない、「日本が悪意をもって韓国を標的として能動的に決断した行為」であるのが最大の特徴だ。

 韓国の半導体産業にどれほどの打撃を与えるか、あるいは日本企業にも跳ね返ってくるリスクが大きいのではないか、という見立ては経済的には正しいのだろうが、本質ではなく派生する問題といえるだろう。

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筆者

市川速水

市川速水(いちかわ・はやみ) 朝日新聞編集委員

1960年生まれ。一橋大学法学部卒。東京社会部、香港返還(1997年)時の香港特派員。ソウル支局長時代は北朝鮮の核疑惑をめぐる6者協議を取材。中国総局長(北京)時代には習近平国家主席(当時副主席)と会見。2016年9月から現職。著書に「皇室報道」、対談集「朝日vs.産経 ソウル発」(いずれも朝日新聞社)など。

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