メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

AI捜査の乱用防止に必要な技術的・法的整備とは

中国の高い映像技術の現状とカリフォルニア州の消費者プライバシー法

酒井吉廣 中部大学経営情報学部教授

AI捜査の行き過ぎを防ぐ法整備が不可欠に

拡大Phonlamai Photo/shutterstock.com
 空想科学映画では、AIを持つロボットは、最初は人間のために働いても、やがて暴走し人間を恐怖に陥れる。それを克服した人間は、AIを持つロボットを作ったことを反省するというのがお決まりのパターンだ。一方、日本の鉄腕アトムのように、100%人間と仲良く生きるロボットを描いたアニメもある。これは、AIが完璧に進化すれば、人間の良心と同じ心を持つロボットも出来るという予測だろう。

 しかし、現段階でAIを人間の求める通りに動かすためには、それを実現するための技術開発のみならず、感情のないシステムが勝手に課題達成に向かってしまうことで起こる副作用を防ぐ法的整備も必要になる。換言すれば、AIを使った捜査が行き過ぎることで起こる情報の乱用を止める、技術的・法的整備は絶対に必要なのである。

 とはいえ、一義的には犯罪防止のための技術の進展を損ねるかもしれない法律を作るのは容易ではない。

 こうした状況下、昨年、カリフォルニア州で通った二つの法案に注目したい。

 一つは、昨年8月に知事がサインしていったん成立した、保釈金をゼロにする法案である(前回「AIを使った犯罪捜査で人種差別はなくせるのか?」でも触れている)。AIの活用で逮捕される者の数が増える可能性を意識したもので、法案はいったんは成立したもの、保釈金の廃止または引き下げを求めていた側、保釈金に絡んだ産業に従事していて導入に反対する側の双方に不満があり、結局、来年の大統領選挙時にあわせて、その可否について改めて住民投票をすることとなっている。

 もう一つは、昨年6月に知事がサインした情報取得者の権利を守る法律で、日本ではJETROや法律事務所などによって「消費者プライバシー法」として説明されているものだ。

「消費者プライバシー法」の中身と問題点

拡大MONOPOLY919/shutterstock.com
 この法律でAI捜査の観点から重要なことは二つある。
・・・ログインして読む
(残り:約1016文字/本文:約4807文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

酒井吉廣

酒井吉廣(さかい・よしひろ) 中部大学経営情報学部教授

1985年日本銀行入行。金融市場調節、大手行の海外拠点考査を担当の後、信用機構室調査役。2000年より米国野村証券シニア・エグゼクティブ・アドバイザー、日本政策投資銀行シニアエコノミスト。この間、2000年より米国AEI研究員、2002年よりCSIS非常勤研究員、2012年より青山学院大学院経済研究科講師、中国清華大学高級研究員。日米中の企業の顧問等も務める。ニューヨーク大学MBA、ボストン大学犯罪学修士。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

酒井吉廣の記事

もっと見る