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「表現の不自由展」の中止が突きつけた重大な課題

「あいちトリエンナーレ2019」の目玉企画はなぜ中止されたのか。何を考えるべきか

米山隆一 前新潟県知事。弁護士・医学博士

拡大展示の中止が決まった後、報道機関に公開された「表現の不自由展・その後」=2019年8月3日、名古屋市東区

企画展の中止に議論が沸騰

 愛知県内で開催されている国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」が、展示内容に対する多数の抗議が来たと報じられたのち、河村たかし・名古屋市長が中止を求め、その翌日には芸術総監督である津田大介氏が、警備上の懸念を主な理由として中止を発表したことが、大きな議論を巻き起こしています。寄せられた抗議にはFAXで「ガソリン携行缶をもって行く」というテロの予告とすら思える内容のものもあったと言います。

 この件をめぐっては、SNS上では、表現の自由と政治・公金との関係等について様々な論点がみられました。そこで本稿では、それらを整理して論じたいと思います。

政治的表現は「表現の自由」の対象ではない?

 まず、「この展示会の展示物は芸術と言うより政治だから、表現の自由の対象ではない」という論点がありました。

 政治的表現も「表現」ですので、政治的だから「表現の自由」の対象ではないということは全くありません。また、逆に芸術が何らかの政治的主張を含んでいることは少なくなく(西欧中世期の宗教画は明らかな宗教的宣伝ですし、その後のルネサンス期の人物画は中世期の王権神授説的政治体制への反抗という意味もあったと思います)、政治的表現と芸術表現を分けることは意味がないと思います。

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筆者

米山隆一

米山隆一(よねやま・りゅういち) 前新潟県知事。弁護士・医学博士

1967年生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学医学系研究科単位取得退学 (2003年医学博士)。独立行政法人放射線医学総合研究所勤務 、ハーバード大学附属マサチューセッツ総合病院研究員、 東京大学先端科学技術研究センター医療政策人材養成講座特任講師、最高裁判所司法修習生、医療法人社団太陽会理事長などを経て、2016年に新潟県知事選に当選。18年4月までつとめる。2012年から弁護士法人おおたか総合法律事務所代表弁護士。

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