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アメリカ「Z世代」に「日本シフト」が起きている

過労死、子供の貧困、女性、在日外国人、LGBTQなどマイノリティー問題に関心

芦澤久仁子 アメリカン大学講師(国際関係論)及びジャパンプログラムコーディネーター

日本シフトのアメリカ人学生の特徴

 このようなことを背景に、日本専攻にシフトするアメリカ人学生が最近増加したようなのだが、では彼らは一体どんな若者達なのか、と読者の方は興味を持たれるのではないか。

 これについて統計的な答えを今の時点で見つけることは難しいのだが、先学期の経験から私が言えることとして、まず、非白人の学生の割合が比較的多いことが印象に残った。

 先述の二つの新規コースを平均すると、非白人の学生の割合は約45パーセント。そのうち3割ほどが日系アメリカ人学生だが、さらに東南アジア諸国や中国などのアジア系アメリカ人に加え、アフリカ系アメリカ人(いわゆる黒人と言われる)が含まれる。

 私がこれまで教えてきたもっと一般的な内容のコース(「グローバルガバナンス」、「アメリカ外交政策」)では、白人系の学生(ヒスパニック系も含む)が全体8~9割というのが常であったので、人種別の学生比の違いが目についた。

 これは日本という非西欧の国をテーマにしたコースであるから、ある意味当たり前と言えば当たり前である。ただ、私が以前に教えた「中国・日本・アメリカ」というもう少し大きな範囲でのアジア・コースに比べて、今回の日本に特化したコースでは、アフリカ系アメリカ人の率が多少高かったのが興味深かった。

 いずれにしても、アメリカ人と聞くと何となく白人をイメージする人がまだまだ少なくない日本であるが、これからやって来るアメリカ人留学生は、アジア系やアフリカ系の若者である可能性が高いことを知っておくことが必要であろう。

過労死、子供の貧困などの問題に関心

拡大「らしく、たのしく、ほこらしく」「全ての愛に平等を」などのプラカードを掲げて参加者が歩いた「東京レインボープライド2018」のパレード=2018年5月6日、東京都渋谷区
 これらの学生達が日本のどんな部分に興味を持っているかという点では、以下のような特徴が見られた。

 まず、アニメや漫画といった日本ポップカルチャーの熱狂ファンの学生は全体の2割程度と、予想より少なかった。以前のジャパン・スタディーの主流関心事であった日本経済、そして日米同盟などの日本の外交・安全保障問題に興味を持つ学生は、それぞれ1割ほど。

 残りの6~7割の学生達が興味を示していたのは、過労死や子供の貧困といった日本の社会問題で、中でも、女性、在日外国人、LGBTQといった、いわゆるマイノリティーに対する差別問題に対する関心が高かった。

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筆者

芦澤久仁子

芦澤久仁子(あしざわ・くにこ) アメリカン大学講師(国際関係論)及びジャパンプログラムコーディネーター

ワシントンDC在住。東京生まれ。慶応大学経済学部卒業。テレビ東京勤務後(ニュース番組制作等担当)渡米。2005年にタフツ大学フレッチャー法律外交大学院博士課程(国際関係論)を終了し、英国オックスフォードブルックス大学(准教授)を経て2012年から現職。また、米国ウッドローウイルソン国際学術センター、東西センター、ライシャワー東アジア研究所に招聘研究員として滞在。主な研究分野は日本外交、日米関係、アジア地域機構、グローバルガバナンス。研究論文は、International Studies Review, Pacific Review, Journal of Peacebuilding and Development等の英文学術誌および編著本に多数発表。著書、Japan, the U.S. and Regional Institution-Building in the New Asia: When Identity Matter (Palgrave McMillan)が、2015年度大平正芳記念賞を受賞。

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