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選挙を盛り下げる「公選法」はいつまで続く/下

制約だらけで歪んだ制度の是正が必要だ

井戸まさえ ジャーナリスト、元衆議院議員

拡大2016年の都知事選挙では、選挙中に鳥越候補に対するスキャンダル報道が週刊誌に掲載され、選挙結果にも影響を及ぼしたと考えられている

選挙を盛り下げる「公選法」はいつまで続く/上

選挙期間に入ればスキャンダルは出ない?

 今回の参議院選挙でも、候補者に関する様々な噂が駆け巡った。まことしやかに言われたのが「●●候補と××候補の不倫スキャンダル報道が選挙前に出る」というものだった。それが正しかろうとそうでなかろうと、スキャンダルを抱えた候補者や陣営は実際に選挙が始まれば胸をなで下ろす。選挙に入ってからのこうした報道等は公職選挙法上の「自由選挙妨害罪」にあたる可能性があり、おいそれと報道できなくなるからである。

 ところが、その「常識」を覆したケースがある。2016年の東京都知事選挙での鳥越俊太郎候補に関する報道である。選挙期間中に有力候補者がスキャンダルが報じられるというのは、それまではなかった話である。

 週刊誌の報道に限らず、SNSの時代に入りツイッターやフェイスブック等SNSで正誤の確認がしにくい情報が大量に上がってくる。虚偽が流れたらどうするのか等の問題も国会で議論となったが、瞬時にエビデンスをつけて反撃することも可能となるなど、一つの選挙を超えるごとに候補者も有権者も学習し、戦い方も心得てきているようにも見える。

 ただ、否定も肯定も候補者自身にそれなりのフォロワー等がいれば別だが、そうでない場合はSNSの記事等も選挙サイトや、そこから流れる検索エンジンに掲載されるか否かでその広がりは変わる。今後はむしろ影響力があるサイトに掲載される、もしくはシェアされるような場所にコンテンツをいかにあげられるかが勝敗を分ける要因になるかもしれない。

 ただ、懸念を持ったのは選挙サイトでの取り上げ方だ。一般のインターネット利用者には選挙サイトは候補者を一見平等に扱っているように見えるが、実際は違う。統一地方選挙の際、ある有力選挙サイトの候補者一覧に自分たちが掲載されていないことに焦った候補者たちが問い合わせると、掲載されるためには基本料金3万円を払わないと名前も、顔写真も掲載されないことがわかった。候補たちは3万円を振り込もうとしたが、事務作業が追いつかず、反映されるのは選挙後だと言われた。当然だが、追加サービスを求めると10万円、20万円と課金されるシステムだった。選挙における「平等性」の担保は意外に難しい部分もあるとの認識は持っていなければならないだろう。

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筆者

井戸まさえ

井戸まさえ(いど・まさえ) ジャーナリスト、元衆議院議員

1965年宮城県生まれ。ジャーナリスト。東京女子大学大学院博士後期課程在籍。 東洋経済新報社勤務を経て2005年より兵庫県議会議員。2009年、民主党から衆議院議員に初当選(当選1回)。著書に『無戸籍の日本人』『日本の無戸籍者』『 ドキュメント 候補者たちの闘争』、佐藤優との共著『不安な未来を生き抜く最強の子育て』など。