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日韓問題の核心は“文在寅大統領問題”

ちらつく“悪しきリベラリスト”の影。国内問題を国際問題化する政治手法にも危うさ

田中秀征 元経企庁長官 福山大学客員教授

拡大韓国・天安市で日本統治からの解放を記念する「光復節」の式典で演説する文在寅大統領=2019年8月15日、東亜日報提供

思想・行動と結びつく政治家の“性格”

 私は韓国の文在寅大統領の言動を、2年前の就任以来、格別の関心をもって観察してきた。特に最近では、彼が取り返しのつかない事態を招くのではないかと、目を離せないできている。

 8月2日の強硬発言が「凶」と出たからか、注目された光復節(8月15日)演説は一転して、日本に対話を呼びかける融和路線となった。しかし、罵倒した直後に握手を求めても、素直に応じる人はいない。それどころか、文大統領が状況によってカメレオンのように変わる“状況主義者”であることが一層明白になったように見える。

 現在の不幸な“日韓問題”の核心は“文在寅問題”に他ならないと、私は受け止めざるを得ない。

 政治指導者の言動を律するのはその性格。かつて、フランスのドゴール大統領は、政治家にとって“性格”の持つ重い意味を強調した。思想と行動も、その政治家が持つ性格と分かちがたく結びついているというのだ。

 とすれば、最近の文大統領の途方もない言動は、彼自身の“性格”に発するところが大きいのではないか。

驚くしかない曖昧な発言

 先述した8月2日、国の内外に公開された緊急閣僚会議で、彼はこう発言していた。

 「加害者の日本が盗っ人猛々(たけだけ)しく大声をあげている」

 韓国語でどう言っているのか、英語にどう訳されたのかは知らない。しかし、言葉の低劣さにさほどの違いはないだろう。

 文大統領の独特の政治手法は、国内問題や二国間問題をあえて国際問題化すること。私はかねてそう思ってきていたが、今回はそうした認識が間違っていないことがはっきり確認された。

 「今の韓国は過去の韓国ではない」から、「われわれは二度と日本に負けない」。
 「今後起こる事態の責任は全面的に日本政府にあることをはっきり警告する」

 一体どんな“事態”なのか。「日本も大きな被害を受けなければならない」と言われても、何のことか釈然としない。文大統領のこうした曖昧(あいまい)な発言には、驚くばかりだ。

 その3日後、文大統領は政権幹部の会合を公開し、次のようにも発言している。

 「北朝鮮との経済協力で平和経済を実現し日本に追いつく」。本来は「日本に追いつく」のが目的ではなく、「国民生活を豊かにする」ことこそが韓国経済の目標だろう。

 われわれは、非核化された南北が統一され、自由で民主的な国家が生まれるなら、心から拍手をする。経済で追いつかれ、追いこされることがあっても気にはしない。そこから未来志向の日韓友好が実現すれば、東アジアの要としての役割を果たすことができるはずだ。

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筆者

田中秀征

田中秀征(たなか・しゅうせい) 元経企庁長官 福山大学客員教授

1940年生まれ。東京大学文学部、北海道大学法学部卒。83年衆院選で自民党から当選。93年6月、自民党を離党し新党さきがけを結成、代表代行に。細川護熙政権で首相特別補佐、橋本龍太郎内閣で経企庁長官などを歴任。著書に『平成史への証言 政治はなぜ劣化したのか』(朝日選書)https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=20286、『自民党本流と保守本流――保守二党ふたたび』(講談社)、『保守再生の好機』(ロッキング・オン)ほか多数。

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