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終戦の日、熱海の「もうひとつの靖国」を訪ねた

「戦争責任」と「追悼」にまつわる、ふたつの場所

石川智也 朝日新聞記者

拡大全国戦没者追悼式=2019年8月15日、東京都千代田区の日本武道館

令和最初の「8・15」

 令和最初の「8・15」。全国戦没者追悼式での安倍首相の式辞には7年連続で近隣諸国への加害への言及や「反省」の文字がなかった。

 一方、新天皇は平成時代の表現を受け継ぎ「深い反省」を表明した。

 もっとも、その「おことば」の全文を子細に読んでみると、この「反省」は、誰のどのような行為と結果に対してのものなのか、主語も目的語も判然としない。

 ちょうど74年前の正午、ラジオから流れた昭和天皇による肉声が「敗北」ではなく「時局ヲ収拾」と述べ、「戦争を始めた天皇」がいつの間にか「戦争を終わらせた天皇」に換わってしまったのと似たレトリックがある。

 「8・15」は国を挙げての鎮魂の日であり、さきの大戦について思いを馳せる日とされている。しかし、過去を冷静に見つめ責任の所在を自ら追及しようという意思は、なぜかいつも、飛び交う「加害」「被害」「自虐」「誇り」「平和」といった大声とともに、真夏の空気のなかに蒸発していってしまう。

 終戦の日。「戦争責任」と「追悼」にまつわる、ふたつの場所を訪ねた。


筆者

石川智也

石川智也(いしかわ・ともや) 朝日新聞記者

1998年、朝日新聞社入社。社会部でメディアや教育、原発など担当した後、特別報道部を経て2021年4月からオピニオン編集部記者、論座編集部員。慶応義塾大学SFC研究所上席所員を経て明治大学ソーシャル・コミュニケーション研究所客員研究員。著書に『さよなら朝日』(柏書房)、共著に『それでも日本人は原発を選んだ』(朝日新聞出版)、『住民投票の総て』(「国民投票/住民投票」情報室)等。ツイッターは@Ishikawa_Tomoya

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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