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8月6日(火) 広島原爆忌。つい先日8月4日に、広島でお話をお聞きした平岡敬・元広島市長が、「平和宣言は自分の言葉で語らなければダメですよ」と言っておられた意味がわかったように思う。松井一実広島市長の平和宣言では、「世界中の為政者には、……(略)……核兵器のない世界への一里塚となる核兵器禁止条約の発効を求める市民社会の思いに応えていただきたい。……(略)……日本政府には唯一の戦争被爆国として、核兵器禁止条約への署名・批准を求める被爆者の思いをしっかりと受け止めていただきたい」と核兵器禁止条約の署名・批准に初めて言及した。けれども「市民社会の思い」「被爆者の思い」に託している。あなた松井市長自身の思いはどうなのか。主語が曖昧なのだ。

 午前中、「報道特集」の定例会議。その後「調査情報」の原稿。島田雅彦の『君が異端だった頃』読了。初の私小説だけれど、6つも年齢が下なのに、何だかとても近い精神風土にいたような読後感。1970年~80年の時代だものなあ。

〈メディア・ピープル〉の一挙手一投足がメディアを舞台に人々に消費される拡大〈メディア・ピープル〉の結婚会見が人々にたちまち消費されていく

8月7日(水) 朝9時、横浜の某所。某重要な取材。これがまたもや叶わず。一体何があったのか。

 13時から渋谷でデンマーク映画『ドリーミング村上春樹』。不思議な映画だ。村上春樹のデンマーク語への翻訳家を主人公としたドキュメンタリー映画。映画館の外に出たら、むっとする暑さに襲われた。そこへSNSで、小泉進次郎と滝川クリステルが結婚との情報。えっ? 局に戻ってテレビをつけたら民放はほとんど全局、この話題を繰り返し繰り返し放送していた。何と首相官邸での番記者ぶら下がりでの結婚・妊娠発表記者会見となっていて、それが生放送されていた。NHKはニュース速報を流したらしい。ホントかよ。何と言うか、「公私混同」とかいう言葉はもはや死語になったな。

 小泉進次郎氏のことを、着ぐるみを脱げないうちに存在そのものが着ぐるみになってしまったと評した人がいたが、その人物が「お・も・て・な・し」で東京五輪招致に全身貢献した滝川クリステルと結婚するとは。何と言うか、お似合いだ。この世の中には<メディア・ピープル>という情報社会のセレブがいるのだ。その<メディア・ピープル>の一挙手一投足がメディアを舞台に人々に消費される。ジョディ・ディーンのいう「コミュニケーション資本主義」のアクターたち。例えばドナルド・トランプという人も<メディア・ピープル>の最高位のセレブである。今日のテレビは午後から全部この話題で占拠されていた。

 夕方、墨田区のすみだ北斎美術館で、イタリアのシチリア出身のチェリスト、ジョヴァンニ・ソッリマの来日記念レセプション&パフォーマンス。さすがにチェロ界のジミヘンと言われているだけに、破格のパフォーマンスで観客を魅了する。レナード・コーエンの『ハレルヤ』が素晴らしかった。その後、国産ワインを飲む。

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筆者

金平茂紀

金平茂紀(かねひら・しげのり) TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

TBS報道局記者・キャスター・ディレクター。1953年、北海道生まれ。東京大学文学部卒。1977年、TBSに入社、報道局社会部記者を経て、モスクワ支局長、「筑紫哲也NEWS23」担当デスク、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長、コロンビア大学客員研究員などを経て、2010年より「報道特集」キャスター。2004年、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『沖縄ワジワジー通信』(七つ森書館)、『ロシアより愛を込めて――モスクワ特派員滞在日誌 1991-1994』(筑摩書房)、『二十三時的――NEWS23 diary 2000-2002』(スイッチ・パブリッシング)など。共著に『テレビはなぜおかしくなったのか<原発・慰安婦・生活保護・尖閣問題〉報道をめぐって>』(高文研)、『内心、「日本は戦争をしたらいい」と思っているあなたへ』(角川書店)など多数。

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