システマティックで統一された対応に学べ
2019年09月12日
台風15号は関東での風雨のピークは9日未明から朝方にかけてで、風雨が弱まるにつれ、午前8時とされた鉄道再開を目指し鉄道駅には通勤客が集まり始めた。しかし暴風が弱まるのが予想より遅く、鉄道施設の安全確認の作業にも時間がかかり、倒木など被害もあり運転再開は遅れが出た。それにより津田沼や川崎、都心でも新宿などで乗客が運転再開を待ち、構内ばかりか外にまであふれた。
計画運休の措置をとったところで運転再開となれば、多くの通勤客が集中することで駅の入場制限となり、混雑でダイヤも乱れる。勤労者にとって、台風来襲でも交通機関が動きだせばすぐに出社しないといけないという使命感、配慮がある。従業員の安全確保のため在宅勤務や通勤遅延を認めた企業でも「有給休暇の積極的活用」を勧める事例もあり、それはニュースで好意的に紹介されていたが、これも結局、台風という自然災害に対して個人の年休消化という代償を求めている。つまり台風被害も自己責任と犠牲で何らかの対応をしないといけない。
こうした対応を抜本的に解決する手段はないのか。ここで香港のシステマティックな台風対応を紹介しよう。
台風を含む熱帯性低気圧に対しては、これまでの被害を教訓にシグナル(警報)制度が確立している。1、3、8〜10の5段階(途中の数字は現在は取り消し)
1 スタンバイ 香港から半径800km以内で接近予想
3 強風 香港近海で風力41〜62km/h、中心は110km/h
8 暴風 香港近海で風力63〜117km/h、中心は180km/h
9 暴風がさらに増強、あるいはそれが予想される
10 風力118km/h以上、中心h220km/h
これを決めるのは香港天文台で、1と3は「警戒」で1→3、3→8になる場合、混乱がないよう事前に2時間以上前には天文台から予告が出る。
天候の回復によって、正午なり午後3時なりにシグナル8→3となる場合、
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください