メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

日産の西川社長の報酬不正問題はなぜ起きたのか?

異文化マネージメントに失敗した日産の企業統治の限界

酒井吉廣 中部大学経営情報学部教授

長期的には上昇していない日産の株価

 SARの導入で長期的な成長がいっそう重要になる一方、企業経営の面では世界的に株主第一主義が徹底されていった。ROE(自己資本利益率)、EPS(一株当たり利益)などの経営指標はそれを象徴する。これらの指標は、いずれもより高い利益を良しとし、同じ利益ならより短い時間で達成できることを良しとする。

拡大仏ルノーの本社=、パリ郊外
 米国企業が目標達成型と単純な株価連動型の報酬を半々にしているのは、まさにその反映である。これに対し、フランス企業のほとんどが目標達成型なのは、社会主義的な経済を志向するフランスでは、国民のために企業の長期的な成長が重要とされるからだ。

 ちなみに、日産の株価はこの20年間でたった7%強の上昇であり、同業のトヨタが2倍弱、ホンダが24%の上昇であるのとは格差がある。リーマン・ショックがあったこの10年間に着目すると、日産株の上昇が1%未満なのに対して、トヨタは2倍強、ホンダは2倍弱である。

 業績目標達成型のフランス企業の代表であるルノーの子会社となった日産の株価が、ゴーン前会長が着任した当時とあまり変わっていないのは、興味深い。ルノーが救済する前の1998年に300円程度しかなかった株価と比べれば、2倍になってはいるが……。

SARを使いこなすための具体的な方法

 では、日産は具体的にどのような行動をするべきだったのか。グローバル化が進む他の日本企業の参考になるであろうこの点について、次に考えたい。

 まず、単純な対処方法としては、 ・・・ログインして読む
(残り:約2464文字/本文:約6433文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。
Journalismの記事も読めるのは全ジャンルパックだけ!


筆者

酒井吉廣

酒井吉廣(さかい・よしひろ) 中部大学経営情報学部教授

1985年日本銀行入行。金融市場調節、大手行の海外拠点考査を担当の後、信用機構室調査役。2000年より米国野村証券シニア・エグゼクティブ・アドバイザー、日本政策投資銀行シニアエコノミスト。この間、2000年より米国AEI研究員、2002年よりCSIS非常勤研究員、2012年より青山学院大学院経済研究科講師、中国清華大学高級研究員。日米中の企業の顧問等も務める。ニューヨーク大学MBA、ボストン大学犯罪学修士。

酒井吉廣の記事

もっと見る