“人気者”の小泉進次郎氏の初入閣も弾みにならず。はずされた石破氏はどうする?
2019年09月13日
安倍晋三首相が「安定と挑戦」を掲げた第4次再改造内閣が9月11日、発足した。ただ、“人気者”の小泉進次郎氏が環境大臣として初入閣したにしては、意外なほど盛り上がりがない。
新たな内閣の顔ぶれから受けた印象を言うと、古い柱をそのままにして、内装や備品を一変させたということだろう。留任した閣僚は2人、新任が15人、他に再任が2人と、かたちのうえでは大幅な刷新だが、「在庫一掃」と言われたり、新鮮味が乏しいと言われたりするのは、いったいどういうわけだろう。
やはり、内閣の要である副総理と官房長官、自民党の柱である幹事長が、長期にわたって代わらないからであろう。
なぜか? それは、安定からは政権に動きや勢いが生まれないからだ。3本の柱が今まで通りに機能し、自然に4選への流れができるとすれば、ありがたくその流れに乗ろうといった程度の意欲しか今の首相にはないと、私は受け止めている。
特に、高齢の二階氏と麻生氏には、体調面での不安も残る。もちろん、両氏が共に体調を維持し、要職の激務に耐えることもあり得ようが、そんなことは何ら保証されてはいない。1本の柱でも機能の麻痺(まひ)を起こせば、そのまま安倍政権全体の機能麻痺を招く心配もあろう。
今回の人事には、安倍首相による「石破(茂)はずし」が露骨に透けてみえる。そのうえで、将来の首相候補と目される議員のほとんどを入閣させ、首相への忠誠を競わせている。
2001年に小泉氏が首相に就任した直後、私にこう言ったことがある。
「この総裁選(2001年)に立候補しなければ、郵政民営化を諦めたとみられる。だから、泡沫(ほうまつ)と言われてもいいからと立候補した」
この総裁選は小泉氏にとって3度目の挑戦であった。当落にかかわらず、政治家として筋を通した小泉氏の行動を、世論はかつてなく支援し、事前の予想を覆す驚異の逆転劇が生まれた。
石破氏の過去の「政治的失敗」は取り返すのが難しい。だが、これからは自分よりも若い議員を応援し、“安倍政治”に対抗する流れをつくってほしい。そこに自らの政治的使命を見いだしてほしい。そう願っている。
メディアは、総裁候補とされる菅、河野太郎、茂木敏充、加藤勝信の各氏、ならびに小泉進次郎氏の入閣に注目している。彼らに、党三役の政調会長に留任した岸田文雄政調会長を加えた6人のうち、岸田、菅氏はもとより、河野、茂木、加藤氏もまた、次期総裁候補として認知されたと言ってもいい。
現在の進次郎氏にとっては、環境大臣は願ってもはない最高の役職だ。この際、地球環境問題に真剣に取り組み、温暖化問題に精通した政治家になってほしい。そして、原発問題や環境破壊といった課題に真正面から対応してほしい。
政党や国の指導者になる人には、
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