櫻田淳(さくらだ・じゅん) 東洋学園大学教授
1965年宮城県生まれ。北海道大法学部卒、東京大大学院法学政治学研究科修士課程修了。衆議院議員政策担当秘書などを経て現職。専門は国際政治学、安全保障。1996年第1回読売論壇新人賞・最優秀賞受賞。2001年第1回正論新風賞受賞。著書に『国家への意志』(中公叢書)、『「常識」としての保守主義』(新潮新書)など。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
対外関係・安保政策の「強靭性」が「安倍後」に受け継がれるかがカギ
第4次安倍晋三再改造内閣が9月11日に発足した。安倍晋三(内閣総理大臣/自由民主党総裁)の3度目の総裁任期満了である2021年9月を控え、このたびの改造内閣発足は「安倍後」の展望とともに語られる。小泉進次郎(環境大臣)の起用が注目されたのも、彼が「安倍後」の政局で重要な位置を占めるであろうという世の期待が反映されているからに他ならない。
一方で、「『安倍後』も安倍」として、安倍の総裁選「4選」を容認する声が自民党内にあるのも事実である。仮に2020年米国大統領選挙に際し、ドナルド・J・トランプ(米国大統領)が再選されるならば、安倍が「4選」を果たしトランプが任期を終える2024年まで「安倍・トランプ関係」を続けた方が、日米関係上は不安が少ないといえよう。当代の各国政治指導者の中でも、安倍がトランプとの関係を最もうまく紡げているという評価を勘案すれば、「安倍・トランプ関係」の行方が、当代の国際政治の「安定」にも結び付いているのは確かであろう。
とはいえ、本稿では、「『安倍後』も安倍」という事態は想定しない。このたびの改造内閣によって安倍の執政が締めくくられるという前提の下、その行方を展望することにする。安倍は第1次内閣期を含め、11年に及ぶ長き執政の「有終の美」を飾れるのか。その条件を考えることは、「安倍後」を展望するうえでも大事なことに違いない。